バンクシー展に行く前の予習 Banksyの作品と活動を年代順に解説

Banksy(バンクシー)は覆面で素性を明かさず、作品をゲリラ的に街の壁に残していく。そんな唯一無二のスタイルで世界を魅了し続ける稀なストリートアーティストだ。

バンクシーの公式インスタグラムのフォロワーは1200万人を越える。美術史の中でアーティスト単体で1000万人以上の人にリーチできるアーティストがこれまでいただろうか?

実は、バンクシーのこれまでの活動を網羅することは意外に難しい。それは、バンクシーが匿名のアーティストということもあり、公式の情報が残っていないことが多いからだ。

海外の超有名オークションハウスも普通に間違った作品情報を書いている所もある。

日本の会社が発売した非公式の「バンクシー作品集」があるが、バンクシー好きなら誰でもわかる、他のアーティストの作品をバンクシーの作品と紹介していたこともある。

近年は、公式インスタグラムで発信することが多いバンクシー。しかし、それが全てというわけでもない。あえて表に発表しない作品や情報もたくさんある。

特に初期、2000年初め頃のバンクシーの作品や活動がそう。今ほど個人が情報発信する時代ではなかったので、曖昧な情報もたくさんある。

なので、この年表を見ると、これまでバンクシーがどんな活動やパフォーマンスをしてきたかがざっくりわかる情報をまとめることにした。

(年代ごとのイベントにリンクを貼っているので、そのリンクをクリックすると、その個々のイベントの記事に跳べるようになっている。)

1972 - 1974

バンクシーはイギリスの南東部に位置するブリストルに、1973年とも1974年生まれとも言われている。しかし、バンクシー本人は公式にプロフィールを公表してない。

彼は過去のメディアのインタビューで こう語っていた。子供の頃夏休みに、よく「ウェストン・スーパー・メア」に家族と一緒に訪れた。この街はブリストルから電車で1時間しか離れていない。

総合すると、バンクシーの昔からの知り合い、関係者の証言を合わせるとブリストルが出身地であるのは間違いなさそうだ。

2002

・2002年6月、バンクシーはアメリカで自身初のソロ・エキシビション「Existencilism (イグジステンシリズム) 」をLAの Frank Sosa’s 33⅓ Gallery で開催。

2003

・POW初(Pictures on Walls)から、バンクシー初となるエディション作品「Have a nice Day」を発売。

伝説のゲリラエキシビション「Turf War」を開催。場所はイースト・ロンドンの若者の街ダルストン。

2004

[画面をタップして拡大]

「Girl with Balloon」がPOWから発売。POWとはPictures on Wallsの略。バンクシーが初期の頃作品を発売していたギャラリー。


そして、この作品はバンクシーを語る上であまりにも有名になる。結果、「イギリス人が愛するイギリス人アーティストの作品 第1位」にも選ばれた。

2005

約200匹の生きたネズミを放したエキシビション「Crude Oil」を開催。下の動画がエキシビション会場を紹介するイギリスChannel4のニュース動画。

・2005年3月、バンクシーはMOMA、ニューヨーク近代美術館、アメリカ自然史博物館、ブルックリン美術館の4美術館で無断で作品を展示。数日間気付かれずにそのまま作品が展示され、そのニュースが世界中を駆けめぐる。

そして、同年5月に大英博物館にて作品を無断で展示。この時、無断で展示した作品は後に大英博物館のエキシビションで正式に展示された。

2006

・2006年9月15日〜17日、Banksy 世界進出直前に開催したエキシビション「Barely Legal をLAで開催。37歳のインド像「TAI」の体にペイントし、エキシビション会場に展示、批判を浴びる。

・2006年9月、バンクシーは英国48店舗のレコードショップでパリス・ヒルトンのデビューアルバムをデンジャー・マウスがリミックスしたCDと、自身が中身を細工したアルバムにすり替える。驚くことに、その数なんと500枚。

2008

・1月、「何の罪もないコレクターが偽物を摑まされないように」と、バンクシー自ら バンクシー作品の唯一の公的認証機関 Pest Control(ペスト・コントロール)を設立。

Banksy(バンクシー)作品の本物と偽物の見分け方

・5月3日〜5日、フランス・カンヌ映画祭にかけたステンシルアートの祭典「Cans Festival」を開催。そこで、DOLKなど新たなグラフィティアーティストが知られる機会になった。

2008年10月、バンクシーがNYCにペットショップをオープン。自身初となるNYCでのエキシビションとは.....

2009

バンクシーが育った街 英ブリストルで、初のエキシビションとなる「Banksy VS Bristol Museum」が開催。そこでは、入館するまでに最大7時間の待ち時間。この長さからも、エキシビションの人気が伺える。

2010

バンクシーの初監督映画作品が公開。その名も「Exit Through The Gift Shop」. アカデミー賞にもノミネートされる。

2013

10月1日から31日までの間、バンクシーはニューヨークの街を舞台に、当時のニューヨーク市長「マイケル・ブルームバーグ」まで巻き込んだパフォーマンスを「Banksy Does New York」 繰り広げた。

2015

ディズニーランドをディスった? テーマパーク ディズマランドがひと夏だけ、期間限定で開催。

一握りの人間がディズニーランドのような夢の国で過ごせる世界の現状があり。一方、国にいられなくなる難民、チベット問題、飢え、命や権限を奪われる問題もある。が、私たちの一致団結でこれら問題を解決したい、と思わせるディズマランドだった。

そこで開催地として選ばれたのが「ウェストン・スーパー・メアー」だった。少年時代のバンクシーの想い出が詰まったかつてのリゾート地だ。

最後には、約15万人の来園者と35億円の経済効果をこの地にもたらした。

2017

・2017年3月3日、バンクシーはイエス・キリスト生誕の地パレスチナ・ベツレヘムにホテル「The Walled Off Hotel」をオープン。

・2017年12月17日、英BBCがバンクシーのドキュメンタリー番組「The Alternativity」を放送。そこでは「世界一、クリスマスが似合う街『ベツレヘムでクリスマスを』がテーマに!

2018

英サザビーズでのオークションで、「Girl with Balloon」が約1億5千万円で落札直後、ビリビリに細断され、「Love is in the Bin」が誕生。

2019

小池都知事のツイートにより、東京に現れたネズミが話題に。

これまでも、一部の日本のグラフィティアート・ファンに支持されてきたバンクシーだったが、ここに来て日本でもバンクシーの知名度が一気に全国区に!

6月10日から英国王立美術院のサマー・エキシビションでバンクシーの作品が展示。

2019年10月、一般客に一度もオープンしない、バンクシーの公式ショップ「Gross Domestic Product」がロンドン郊外クロイドンにオープン。

2019年10月、ロンドン・サザビーズのオークション, バンクシーの作品で過去最大サイズ:縦276cm x 横446cm、チンパンジーの英議会を描いた作品「Devolved Parliament」が予想落札額の5倍以上を越える約13億円で落札。

そして、この作品は 2019年当時バンクシー作品の史上最高落札額を記録。

最後に、同年12月 、イギリス第2の都市バーミンガムにバンクシーが残したクリスマス作品とは?

2020

2020年2月14日、バンクシー バレンタインデーに花束を! Banksyは自身の故郷とも言われる街, 英国西部のブリストルの民家の壁に、Y字型パチンコで花束を空に撃ち放つ少女を描く。

そして、同年3月、バンクシーの大型エキシビション(展覧会)が遂に日本でも開催!

同年6月, Banksy 海に投棄された奴隷商人「エドワード・コルストン」銅像の平和的な解決策を提示!

そして7月、バンクシーコロナ禍のネズミを描いた最新作をロンドン地下鉄にボム!

2021

2021年8月、バンクシー流 コロナ禍でのサマーバケーションの過ごし方!公式インスタで9つの新作を一挙公開!

同年8月、国内2つ目となる大型バンクシー展「バンクシーって誰?」が、東京天王洲アイルで開催。

同年10月, バンクシーのあのシュレッダーで作品「Love is in the Bin」が,約29億円で落札。史上最高落札額を更新!

同年12月, Banksyがたった3800円でオリジナルTシャツを販売!その目的とは? 以上。

2022

2022年11月、バンクシーは戦争最中のウクライナに7つの新作を残す。

次に12月、1000万円以上する作品がたった85万円で買える?しかもウクライナ支援に?

現在のところは、ここまで。


もちろん、2023年以降の新しいパフォーマンス。過去のパフォーマンスでまだ紹介できていないものは追加していく予定。

そして 世界中に潜むバンクシーファンや関係者から聞いた過去の情報も, 常にアップデートして行くので、バンクシー好きの人は、定期的にこの記事をチェックして欲しい。





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