バンクシー展に行くと、必ずと言っていいほど、そのバンクシー展の展示作品を集めた作品集が発売されている。
そして、バンクシー好きでこれまでバンクシー展に行ったことのある方なら「バンクシー展で作品集を買った」という方も多いだろう。
しかし、日本や海外で開催されているバンクシー展の99%近くがバンクシーとは直接関係のない非公式のバンクシー展だ。
もちろん、当然だが、そこで発売されているバンクシーの作品集もバンクシーとは一切関係ない。
もちろん非公式バンクシー展で販売されている作品集が偽物とは言わない。しかし、バンクシーとはほぼ関係ない第3者によって編集された作品集であることだけは知って頂きたい。
この記事では、バンクシーが出版に直接関わった4冊の公式作品集とその詳細ついて紹介しようと思う。
バンクシーが本人が関わった公式の作品集
まずは、第1冊目の公式作品集はこちら
2001 Banging Your Head Against a Brick Wall

バンクシー最初の公式作品集「BANGING YOUR HEAD AGAINST A BRICK WALL」は2001年に発売。
作品集のサイズはA6(105mm x 148mm)で全56ページ。そして、発売当初の価格は約5ポンドだった。
*この頃の情報はあまり残っていない。なので、少し情報が曖昧な部分があることは予めご了承頂きたい。
この作品集は大手の出版社が関わっていない自費出版のような形で発売された。なので、今となっては既に絶版となっている。もしこの作品集を手に入れるならセカンダリー市場で購入するしか方法はない。
2002 Existencilism Book

バンクシー第2冊目の公式作品集「Existencilism」は2002年5月に発売。
この作品集と同タイトルのバンクシーのアメリカ初ソロ・エキシビション「Existencilism」が2002年6月にロサンゼルス「 Frank Sosa’s 33⅓ Gallery 」で開催されている。
こちらの作品集も一冊目と同じくA6サイズ(105mm x 148mm)と手のひらサイズの大きさだった。
当時のこの作品集に対する詳しい記述はない。だが、おそらく自身アメリカ初ソロ・エキシビション前の準備段階で出版した作品集という位置付けなのだろう。
こちらの2冊目の作品集も既に絶版となっている。もしこの作品集を手に入れるならセカンダリー市場で購入するしかない。
こちらはKindle版だが「電子書籍でも買って読みたい」という方はこちらから。
2004 Cut it Out

バンクシー3冊目の公式作品集「Cut it Out」が発売されたのは2004年12月。こちらも前作品集同様、A6サイズで全52ページにおよぶ。
フルカラーでバンクシーを象徴する有名どころの作品がたくさん含まれている。こちらの作品集には2003年にバンクシーがテート美術館に無断で作品展示をした時の作品も集録されている。
この3冊目の作品集も既に絶版となっている。なので、もしこの作品集を手に入れるならセカンダリー市場で購入するしか方法はない
2005 Wall and Piece

2005年11月に発売されたバンクシー4冊目の公式作品集「Wall and Piece」は、作品集の中で最も有名で最も売れたバンクシーの作品集だ。
火炎瓶の代わりに花束を投げる暴徒「Love is in the Air」の表紙がとても印象的だ。この作品集が初めて大手書店で販売されたことで、バンクシーの世界的人気獲得に貢献したことは間違いない。
バンクシー好きには絶対に所有してほしい一冊
これまで説明してきた過去3冊の作品集 -「2001 BANGING YOUR HEAD AGAINST A WALL」「2002 Excistencilism」「2004 CUT IT OUT」の内容をまとめた、バンクシー初期の総集編とも呼べるのがこの4冊目の「Wall and Piece」だ。
バンクシー好きには必読でお家に絶対に置いておいて欲しい一冊だ。
ハードカバーの重厚感。そして、どこかストリートの壁を思わせる背景。さらに、花束を投げる暴徒のデザインはこれ一冊だけでもアート作品として輝きを放ってくれる。
その他3冊の作品集については、あなたが「寝ても覚めてもバンクシーが好き」というバンクシー好きでない限り、この「Wall and Piece」一冊で十分だろう。
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「Wall and Piece」にはアートの歴史に残るあのパフォーマンスが収められている...
この作品集で、バンクシーは色んな呼び方で紹介されている。例えば、「天才的芸術家」「政治活動家」。そして、「画家」「装飾家」。さらに、神話の伝説的人物。または、悪名高いグラフィティアーティスト?などがある。
2003年にゲリラ的に開催した伝説のエキシビション「Turf War」。そして、2003年〜2005年に米MOMAやルーブル美術館、英テート美術館などの有名美術館に無断で作品を展示した歴史的パフォーマンスの様子も収められている。
2005年までに発表した作品にはGirl with Balloon(風船と少女)。ネズミ。お猿・チンパンジー。スマイリーの警官。そして、Love is in the Air(花束を投げる暴徒)など、バンクシー作品を代表するモチーフが盛り沢山だ。
そして、バンクシーの芸術的メッセージ、政治的メッセージがたくさん含まれていて、初期のバンクシーやバンクシーのアート活動の土台を成す部分を理解するのに十分な一冊だ。
Exit Through the Gift Shop 2010

最後に公式作品集ではないが、こちらも忘れてはいけない。バンクシーが演者+監督として直接関わった「Exit through the Gift Shop」だ。
この映画は2010年に初公開。バンクシーが監督として直接関わった最初で最後の映画作品だ。さらに、アカデミー賞にもノミネートされたストリートアートを追った映画としては異例の作品だ。
まずは簡単なあらすじを紹介したい。
この映画の主人公とも呼べる、LAで古着屋をやっているフランス人ティエリー・グエッタ(Thierry Guetta)。趣味は動画撮影。そして、いとこでストリートアーティストでもある「Space Invader(スペース・インベーダー)」を撮影し始めると、徐々にストリートアートの世界にのめりこみ、様々なストリート・アーティスト達と出会う。
彼らの活動を追っていくうちにバンクシーに出会い。最後には何故か自分が有名ストリートアーティスト「Mr. Brainwash=ミスター・ブレインウォッシュ」へと変貌していく姿を追ったのがこの映画の大まかなストーリーだ。
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今後新しい公式作品集が発売すれば...
2023年3月現在、バンクシーが出版に直接関わった公式の出版物は作品集の4冊と監督として関わった映画作品「Exit through the Gift Shop」の1作品の合計5作品がある。
今後新しい公式の作品集が発売すれば、この記事でどんどんアップデートして行きたい。