クリスマス直前の12月22日、Banksy(バンクシー)はキリスト生誕のシーンを独自の切り口で描いた最新作「Scar of Bethlehem(ベツレヘムの傷跡)」を公式インスタグラムで公開した。
バンクシーが今回アップした最新投稿!
コメント欄には作品タイトルと端的な作品詳細が書かれている。
Scar of Bethlehem. A modified nativity set for the @walledoffhotel
わかりやすく、日本語に直すとこんな感じだろうか。
作品のタイトルは「Scar of Bethlehem(ベツレヘムの傷跡)」。修正版キリストの降誕セットをホテル「The Walled Off Hotel」に設置。
えっ(バンクシー自身がオープンした)ホテル「The Walled Off Hotel」って何の事? って方は、
こちらの記事でホテルについて詳しくご確認を→ バンクシーが2017年3月にキリスト生誕の地「ベツレヘム」オープンしたホテル「The Walled Off Hotel.
バンクシーのホテル「The Walled Off Hotel」内に設置された最新作を動画で見たい方はこちらのYoutubeでどうぞ。
最新作「Scar of Bethlehem=ベツレヘムの傷跡」には何が描かれているの?
バンクシーの最新作「ベツレヘムの傷跡」は、小屋の中の飼い葉桶で寝ている赤子のキリストと、そのキリストを取り囲む聖母マリアとヨセフが登場する「キリスト生誕のシーン」をベースに制作されている。
しかし、背景は現在のイスラエルとパレスチナの政治関係を象徴する分離壁になっている。
通常「キリストの生誕」にはイエス・キリストの生誕を知らせる「ベツレヘムの星」が描かれるが、その代わりに「星の形の銃弾の痕」が描かれている。
後ろの壁には英語とフランス語でそれぞれ、「愛=Love」「Paix=平和」の言葉がグラフィティーで描かれ。
この上の画像を見るとわかるが、ラッピングされた小さなプレゼントボックスが作品の前に置かれている。
バンクシーはこの作品で何を伝えたかったのか?
このホテルで唯一バンクシーと繋がりのあるパレスチナ人のホテル・マネージャー「ウィサム・サルサー」氏はメディアへのインタビューでこう語っている。
"この作品「Scar of Bethlehem」は、バンクシー流の私たちへの贈り物です。
作品を通して、こうやってベツレヘムの話、クリスマスの話を話題に上げることで、世界中の色んな人にベツレヘムの人が今暮らしている状況を考える素晴らしい機会を与えている"
バンクシーは2017年に「The Walled Off Hotel」をオープンする前から、イスラエルとパレスチナの対立について、何度も作品を通じて取り上げて来た。
2002年、イスラエルはパレスチナ人によるインティファーダ(反イスラエル闘争)を受けて、この分離壁を建設した。
イスラエル人にとってこの分離壁は、パレスチナの攻撃から身を守る壁で、パレスチナ人にとっては聖地エルサレムからパレスチナ人を隔離するための壁であると主張している。
最後に....
バンクシーは作品を観る人に、クリスマスケーキや美味しい料理、プレゼントで囲まれるキラキラしたクリスマスに、クリスマスの起源とも言えるパレスチナ・ベツレヘムの人々が置かれた状況を知って、パレスチナの現状について少しでも考えて欲しかったのかもしれない。
P.S. それにしても、今年のクリスマス前後のバンクシーは忙しかった。
12月9日にイギリス第2の都市バーミンガムに残したクリスマス作品や→BANKSY (バンクシー) 2019年のクリスマスはバーミンガムへ!神のご加護がありますように。
今年10月にオープンしたバンクシーの公式オンラインショップなど→バンクシーの公式オンラインショップが遂に期間限定でオープン。通常、数百万円するサイン入り作品がたった7万円から購入可能に!
約13億円の過去最高落札額で落札された「チンパンジーの英議会」→バンクシーあのチンパンジーの作品がサザビーズ・オークションで13億円越えの過去最高落札額を記録!
などなど、色んなイベントやパフォーマンスが盛りだくさんで、海外のみならず、日本国内でのバンクシー人気が爆発。
バンクシーは自身の公式オンラインショップGDPでの作品の発売は最後ではないと言っていたし、2020年には日本でも非公式のバンクシーエキシビションが2つ開催されることが決まっている。
いよいよ来年2020年に日本でオリンピックが開催される。国内では2020年はオリンピックイヤーだけでなく、バンクシーイヤーにもなりそうだ。