バンクシー展「天才か反逆者か」に行く前に知っておくべき作品

2020-10-04

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有名なアーティストの展覧会へ出かけたときに「あ〜、もう少しこのアーティストの作品について事前に下調べしておけばよかった」という経験はないだろうか?

予備知識なくファーストインプレッションを感じる鑑賞もよいが、ことバンクシーに関しては一度目よりも二度目、三度目と足を運び、都度バンクシーの足跡、作品の背景を知りながら鑑賞するのがお値段以上に楽しめるのだと思う。

2020年3月から始まったバンクシー展「天才か反逆者か」は、横浜を皮切りに2020年10月9日から大阪、そして、2021年2月3日からは名古屋、2021年7月2日からは福岡、2021年12月から原宿で開催されることが決まっている。

実際に大阪会場へ足を運んでみたが日本初の大規模なバンクシー展といえるだろう。

2021年8月21日からは国内2つ目の大型バンクシー展「バンクシーって誰?展」が東京で開催された。

こちらはテレビ局の美術スタッフがバンクシーのストリート作品を再現しているので、既に消え去ってしまったストリート作品を擬似的に体験することができる。

ちなみにこちらが実際に「バンクシーって誰?展」に行った時のレビュー→バンクシーって誰?展をプロがレビューしてみた。 バンクシー展で絶対に見るべき作品も同時に紹介!

この記事では、バンクシー展を観に行く前に知っておけば、何倍も楽しめるバンクシーの代表的な作品を年代ごとにご紹介していこうと思う。

バンクシーの代表作

一度(ひとたび)、バンクシーがストリート(路上)に作品(落書き)を残すと、瞬く間にあらゆる言語でSNSや大手メディアを通じて世界中に拡散される。その数、1日にして数千万人から数億人の人がバンクシーの新作を目にすることになる。

スプレーで落書き(Graffiti Art)が投下された場所は観光地と化し、その作品が壁ごと切り取られオークションへ出品されれば、数千万円から数億円の値が付く。もはやこれは「落書き」とは言えない。

バンクシーが美術史 史上、1番拡散力があるインフルエンサーであることは間違いないだろう。

Girl with Balloon

この作品のオリジナルタイトルは「Girl with Balloon」もしくは「Balloon Girl」、日本では一般的に「風船と少女」というタイトルが付けられている。バンクシーの作品の中でも1番有名な作品だ。

手を伸ばしてハートの風船をつかもうとしているのか、ハートの風船が手から離れて行ってしまったのか? 観る者の捉え方によって見え方は180度変わる。

Girl with Balloon(風船と少女)は元々、ロンドンのサウスバンクというエリアのテムズ川のほとりの壁に描かれていた。作品の横には「There is always hope = 希望は必ずある」と書かれていた。

バンクシーのサインが入っていない「Unsigned」と表示されるシルクスクリーン作品でも2021年2月現在、市場価格は軽く4000万円を越える。

Love is in the Air または Flower Thrower

Banksy : Love is in the air
The Art of Banksy アムステルダム
Banksy'Love is in the air' Moco
Moco Museume

Love is in the Air(日本語タイトル:花束を投げる男、愛は空中に)または、Flower Throwerというタイトルでも知られているこの作品はバンダナで顔を覆い隠し、火炎瓶の代わりに、今まさに花束を投げつけようとする暴徒の姿が描かれている。

「争いは愛や思いやりで解決しろ」というメッセージなのか、憎悪する心には武器ではなく、花束(思いやり、慈悲の心)を見舞ってやれ、と伝わってくる。

ねずみ系

ネズミはバンクシーを語る上で欠かせないモチーフであり、バンクシーの作品に頻繁に登場している。

通常、ネズミといえば街のあちこちに潜み、厄介者とされている。人から害獣として忌み嫌われるネズミをモチーフに使用することで、作品を見る者へ様々なメッセージを訴えかける。

バンクシー本人が出版に関わった唯一の公式作品集「Wall and Piece」(2005年)の中で、バンクシーはネズミについてこう話している。

If you are dirty, insignificant and unloved then rats are the ultimate role model.
もし、君が汚れて、卑しむべき、愛されない存在だとしたら、ネズミは最高のお手本だ。 

Banksy 'Wall and Piece'

バンクシーが路上にネズミをステンシルスプレーで残していくきっかけとなったのは、ステンシルアートの父、フランス人ストリート・アーティストのBlek Le Rat(ブレク・ル・ラット)だ。彼もまた、80年代に人気を博したストリート・アーティストでパリの街にネズミをステンシルで投下しまくっていた。

実験の犠牲にされたり、世界一有名な夢の国のキャラクターだったり、不潔だと忌み嫌われた歴史があったり。それがネズミだ。

Love Rat(ラブラット)

Gangsta Rat(ギャングスタ ラット)

Radar Rat(レーダーラット)

Banksy(バンクシー) -Rader Rat

BECAUSE I'M WORTHLESS & GET OUT WHILE YOU CAN

Welcome To Hell

猿、チンパンジー系

猿(チンパンジー)もまた、バンクシーの代表的モチーフだ。初めに登場した作品は「Ten Monkeys」(下記写真)

Banksy, Ten Monkeys

こちらの作品は2002年、バンクシーがイギリス、ブライトンにあるクラブ「Ocean Rooms nightclub」から依頼を受けて制作したもので、サイズは横10m x 縦6mにもなる。

チンパンジーが肩から下げているサンドウィッチボードには「Laugh Now, but one day we'll be in charge(今に見てろ。いつか俺らがやってやっからさ」とメッセージが記されている。

約13億円で落札されたDevolved Parliament

Laugh Now

Monkey Queen

Banksy -Monkey Queen

スマイリー、ニコちゃん系

警官の顔がスマイリーになっている作品は初期から頻繁に登場している。

銃を抱え重装備されてはいるものの顔がハッピーフェイスな天使の警官。銃は暴力を押さえ込み権力を振りかざすもの。スマイリー&天使からは平和と愛が伝わってくる。相反する要素をひとつの作品に同居させることで善と悪、あなたの心が今どちらを向いているか気づかせてくれる試金石のような作品だ。

Smiley Copper

Flying Copper

2004年、Pictures on Walls(POW)からリリースしたこの作品は縦サイズが1メートルもある見応えのある作品だ。

Have a Nice Day

今はなき Pictures on Walls から発売した一枚目の作品(シルクスクリーン)。ここからバンクシーの本格的なアーティスト活動が始まったといっても過言ではない。

平和への願い込めた系

Napalm

Banksy -Napalm額装

アメリカの資本主義を象徴する夢の国のあのお方とマクドナルドのドナルドに手をひかれている女の子は、1973年ピューリッツアー賞「ベトナムの少女」のファン・ティー・キムフックさん(当時9歳)だ。

南ベトナム軍と北ベトナム軍が交戦、南ベトナム軍の空軍機がナパーム弾を投下。空襲を受け裸で逃げ惑う彼女は重度の火傷を負ってしまう。

「Naplam」はベトナム人写真家ニック・ウトがベトナム戦争の悲劇を捉えた写真をベースにした作品だが、ここでもまた子供たちの憧れの象徴と9歳の少女の対比が「戦争の恐惨さ」を浮かび上がらせる。

Bomb Hugger or Bomb Love

一見するとポップにも見える作品だが少女が抱えるものは?

Happy Chopper

Chopperはアメリカ英語のスラングで戦闘用のヘリコプターを指す。清廉潔白な青い空。その中をこちらへ向かってくる戦闘ヘリのプロペラ部分に可愛らしいピンクのリボンが見える。

力でねじ伏せることも、人命を助けることも、本来どちらも可能であるはずのヘリコプターに、愛と慈悲の心を象徴するピンクのリボンだ。

オマージュ系

最近はあまり見かけなくなったが、オマージュをパクリだという人に極たまに出会うときがある。オマージュとパクリは完全に別物だ。簡単に説明すると元となった作品を制作したアーティストへ尊敬と称賛の気持ちが込められているのがオマージュだ。

Kate Moss

アンディ・ウォーホルの代表的作品「マリリンモンロー」をオマージュしたのが2005年に発売したこちらの「Kate Moss」。

2011年、ケイトモスがハネムーンで自宅を空けていた時に、自宅のバスルームに自分の作品「Kate Moss」が飾られていたそうだ。もちろん、サプライズで!

Soup Can

アンディ・ウォーホルの代表的シルクスクリーン作品「Campbell's Soup Can」をオマージュした「Soup Can」。

イギリスには大手スーパー「Tesco(テスコ)」があり、お得用のスープ缶はイギリス人にとってお馴染みの商品だ。

次は、バンクシーが自身のアーティスト人生の中で、どんなパフォーマンスをして、どんなエキシビション(個展)を展開していったか、年表にしてご紹介していこうと思う。

-バンクシー【非公式】エキシビション
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