Banksy(バンクシー)作品の意味と解説「Love is in the Air」(愛は空中に)

2021-11-10

「Love is in the Air」はバンクシーが好きでも、好きでなくても、誰でも「この作品を1度は見たことがある」というくらい有名で「Girl with Balloon」と並び、Banksy(バンクシー)を代表する作品の一つだ。

作品には「ベースボールキャップを反対に被る暴徒がバンダナで顔を隠し、火炎瓶の代わりに花束を投げる」様子が描かれている。

とてもシンプルなのに、強烈な印象を放つこの絵には「火炎瓶(暴力)よりも、花束(愛)を投げて戦え」という、ポジティブなメッセージが読み取れるのも、バンクシーを代表する作品たる理由の1つかも知れない。

「Love is in the Air」の和訳タイトルは「愛は空中に」と訳されていることが多く、英語では「Flower Thrower」と呼ばれることもある。バンクシーの代表作品と呼べるほど「Love is in the Air」には、色々なバージョンが存在する。

こちらが、これまで訪れた世界中のバンクシー展で展示されていたさまざまな「Love is in the Air」と作品の説明を収めたYoutube動画だ。

「動画よりも、普通の画像が良い!」という方のために、ここからは作品の画像を見ながら、色んな「Love is in the Air」を年代順に紹介していこうと思う。

2003年 「Love is in the Air」の壁画がパレスチナに初登場

「Love is in the Air」が最初に登場したのは2003年でパレスチナとイスラエルを分断する分離壁が建設された時だ。

この分離的は全長760kmにも及び、最初の「Love is in the Air」はその分離壁の壁に描かれた。バンクシーはこの分離壁についてこう語っている。

この分離壁のせいで、パレスチナは世界最大の野外刑務所になった。

2005年バンクシーはパレスチナをもう一度訪れ、9つの壁画を残した。その内の一つが上の画像の「Love is in the Air」の壁画だ。

ちなみにこの壁画はパレスチナのガソリンスタンドの壁に描かれていて、2021年現在でもこの壁画は残っている。

2003 シルクスクリーン版「Love is in the Air」

シルクスクリーン作品としての「Love is in the Air」は2003年、限定500枚で発売された。サイン入り(Signed)はおよそ50枚あると言われ、残りのサインなし(Unsigned)は450枚だと言われている。

*ペストコントロールが公式に発表した情報はないので、実際にはサイン入りとサインなしの枚数の比率はわからない。

他にもキャンバスやダンボール、ペーパー作品など色んな媒体の「Love is in the Air」が存在する。そして、こんなものにも「Love is in the Air」が使われている。

2005 Wall and Piece バンクシー唯一の公式作品集

2005年発売で、現在も購入できるバンクシー唯一の公式作品集である「Wall and Piece」の表紙を飾っているのは「Love is in the Air」のデザインだ。

世の中にあらゆるバンクシーの作品集が存在するが、バンクシー本人が関わったオフィシャルの作品集はこの「Wall and Piece」一冊だけ、他の作品集はバンクシー以外の第3者が編集したものになる。

もしあなたがこれから「バンクシーについてもっと知りたいので、バンクシーの作品集を買いたい!」と思うなら、絶対にこの作品集を持っておくことをオススメする。

なぜなら、バンクシー自らが選んだ画像や作品、メッセージだけを見れるのはこの作品集だけだからだ。

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2019 Thrower

2019年、バンクシーは公式オンラインショップを期間限定でオープンした。その時に発売した作品の一つが、「Love is in the Air」のデザインを使ったこちらの作品「Thrower」だ。

「Flower」はオンラインショップでの発売時はたった11万円程度だったが、2020年10月14日に開催されたオンラインオークションでは3500万円以上で落札されたので、一年も経たないうちに318倍以上に価格が高騰したことになる。

この結果だけを見ても、バンクシーの「Love is in the Air」がいかに人気のある作品かがわかる。

2021年 約14億円で落札された「Love is in the Air」

こちらのオリジナルキャンバス作品の「Love is in the Air」は2006年に制作された作品で、2021年5月12日に開催されたサザビーズ・ニューヨークのオークションに出品され、約14億円で落札された。

「Love is in the Air」がこのオークションでは歴史上初めて、仮想通貨でも落札できることになり、大きな話題を呼んだ。

2021年 東京「バンクシーって誰?展」にて...

2021年8月21日から国内2つ目となる大型バンクシー展「バンクシーって誰?展」が東京天王洲アイルで開催された。

上の画像のように、「Love is in the Air」はバンクシーって誰?展のメインの広告デザインとしても使われている。

バンクシーって誰?展の約9.2億円の「Love is in the Air」

オリジナルキャンバス作品の「Love is in the Air」はこのエキシビションの目玉作品としても展示されている。

「バンクシーって誰?展」に展示されているこの「Love is in the Air」は2021年11月18日、サザビーズ・ニューヨークに出品され、予想落札額400万ドル~600万ドル(4.6億~6.8億円)の所、807万7200ドル、日本円にすると、約9.2億円で落札された。

これから、東京天王洲アイルで開催中の「バンクシーって誰?展」に行くという方は、こちらの記事を「バンクシー展で絶対に見るべき作品」をチェックして頂きたい。

今後も生まれる新しい「Love is in the Air」

2003年に初めて誕生した「Love is in the Air」は形や媒体、制作される場所を変え、あらゆるバージョンの「Love is in the Air」が生まれている。

これからどんな新しい「Love is in the Air」が生まれるか楽しみだ。

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