バンクシー作品解説と販売

バンクシー(Banksy)「Napalm」作品解説と販売!

2023-04-27

「Napalm」はバンクシー作品の中でも、最も政治色が強く、風刺が利いている作品かもしれません。

「Napalm」には別名「Can't beat that feeling」というタイトルもあります。

実はこの作品がベトナム戦争で有名な写真がベースになっていたのをご存知でしたか。

ナパーム弾から逃げる少女

この写真は1972年ベトナム戦争末期に撮られたAP通信のカメラマン「ニック・ウト」が撮影したものです。

写真に映し出されたのはナパーム弾で立ち上る黒煙を背に必死に逃げる子供たち...そして、ナパーム弾でやけどを負い、泣き叫びながら裸で逃げる少女... 戦争の凄惨な光景を捉えたこの写真はピューリッツァー賞を受賞しました。

ベトナム戦争の恐怖と残酷さを伝える象徴的な写真の1枚です。

ちなみに「ニック・ウト」はこの写真を撮った後、自分の車に子供たちを避難させサイゴンの病院まで送り届けたそうです。

Napalm(ナパーム) 2004

Banksy -Napalm額装

エディション作品の「Napalm」は2004年に発売。サインなしが限定500枚、サイン入りが限定150枚発売されました。

サイズは縦50cm x 横70cm。また、これはバンクシーの作品に多いサイズの作品です。

オリジナルキャンバス「Napalm」

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こちらは2016年開催のバンクシー非公式エキシビション「The Art of Banksy」に展示されていたものです。ちなみに、この非公式展のキュレーターはバンクシーの元代理人のスティーブ・ラザリデスでした。

作品の意味とは...

まず、作品の両脇にアメリカの資本主義を象徴する「ミッキー」と「マクドナルドのドナルド」を置き... そして、この2人は笑顔でベトナム人の少女の手を握っています。しかし、少女は恐怖に泣き叫んでいます。

「ミッキーとドナルド」表面上は優しくしているように見えます。しかし、実は少女を恐怖のどん底に連れて行こうとしているのかも知れません。

この2人の間にナパーム弾から逃げる少女を描くことで、軍国主義、資本主義を強烈に批判しているのでしょうか。

ちなみに、少女は当時9歳。ファン・ティー・キムフックという名前です。爆撃を受け酷い火傷を負いました。しかし、14カ月におよぶ入院と17回の手術を経て奇跡的に助かりました。そして、現在はカナダで暮らしています。

作品のメッセージ性を強調するためか、背景はグレーになっており。風刺たっぷりでメッセージ性が濃い作品になっています。

暴力。権力。国民性。偽善。陰謀... 色んな要素が一つの作品に込められたバンクシーらしい作品だ。

Napalm Serpentine Edition 2006

次に、こちらは「Napalm」の特別バージョンの作品です。背景は白で、ドナルドの足下にドリップを施しています。こちらは2022年-23年に、日本中で開催された「バンクシーって誰?展」に展示された作品。

この作品はシルクスクリーン印刷ではありません。なので、これはおそらく試験的に印刷されたテストバージョンなのかもしれません。

ダミアン・ハーストと「Napalm」

ちなみに、英国を代表する現代作家「ダミアン・ハースト」も「Napalm」を所有していました。

バンクシーは2015年開催のアート版テーマパーク「ディズマランド」にダミアン・ハーストを招待。ディズマランド内のギャラリースペース「The Galleries」でダミアン・ハーストの作品を展示しました。

バンクシーとダミアン・ハースト、どちらもブリストル出身。お互いの間にはリスペクトがあるのでしょう。ちなみに、バンクシーの作品にはダミアン・ハースト作品をオマージュしているものも多く、ダミアン・ハーストの個展にバンクシーの作品が展示されたこともあります。

英国を代表する現代アーティスト「ダミアン・ハースト」も愛した「Napalm」は今後新たなバージョンが制作されるのでしょうか?また新しい「Napalm」のバージョンが登場したら、ここで紹介していきます。

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