バンクシー作品解説と販売

バンクシー「HMV」作品の意味と解説

2023-10-14

作品について知らなくても、あれ、この絵どこかで見たことある...という方も多いかもしれません。

なぜなら、この「HMV」は日本にもある英国のレコードショップ「HMV」のロゴをオマージュした作品だからです。

バンクシー作品の中で犬がモチーフの作品はほぼないので「HMV」は犬好きのバンクシー好きにとっては貴重な作品です。

HMVのロゴの元となった絵「His Master's Voice」

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上の絵で蓄音機に耳を傾けるのはワンちゃんのニッパーです。ちなみにニッパーは1884年イギリス・ブリストル生まれ。そして、ニッパーの飼い主は風景画家の「マーク・バロウド」です。

絵には、飼い主のマークが亡き後、蓄音機から聞こえる亡くなった「主人の声=His Master's Voice」に熱心に聞き入る犬の姿が描かれています。

この絵を描いたのはマークの弟の画家「フランシス・バロウド」です。そして、バンクシーの作品はレコード会社「HMV」のロゴにもなったこの絵がベースになっています。

2003 Bar「Cargo」に壁画の「HMV」が登場

まず最初「HMV」はブリストルとロンドンのストリートに壁画として登場。残念ながら、ブリストルの壁画は既に作品、画像ともに消えてありません。

しかし、上の画像のカラフルな「HMV」の壁画は2003年にロンドンの壁に残されたもので、欧州のストリートアートのメッカ「ロンドン・ショーディッチ」にあるBar「Cargo」の外席エリアの壁に残された作品です。

そして、なんと、2024年現在もこの壁画はまだ残っています。

バンクシー作品を愛するバーのオーナーが監視カメラを設置。さらに、作品を保護板でずっと守り続けてくれたおかげで、この壁画はまだ残っています。ちなみに、バンクシーがこれまで発売したエディション作品の中で、オリジナルの壁画が残る、唯一の作品でもあります。

しかし、2021年、人気が出過ぎたためにドラッグや犯罪の温床となってしまったBar「Cargo」は突如閉店。また、その後「HMV」がどうなるのかも不明... このままこの場所に残るのか...それとも、壁ごと切り取られ、どこかで売られるのか... わかっていませんでした。

しかし、

「Cargo」 閉店後も生き残った 「HMV」

ちなみに、閉店したCargoのオーナーは、今後カクテルバー兼レストランに変えると話していました。そして、翌年の2022年、バー・クラブ「Cargo」は、バー兼レストラン「The Viaduct」として生まれ変わりました。そして、もちろん「HMV」も綺麗に残っています。

バーのオーナーのおかげで、現存する最後の壁画が残りました。今もクラフトビール片手に壁画「HMV」を眺めることができます。

バー・レストラン「The Viaduct」のサイトはこちらから見れます。

The Viaductのウェブサイト。

エディション作品 Banksy 「HMV」

エディション作品の「HMV」は、2003年にPOWこと「Pictures on Walls」から発売。サイン入り「Signed」が限定150枚。そして、サインなし「Unsigned」が限定600枚が発売されました。

サイズは縦35cm x 横50cmと小さめ。黒と白、モノクロ・ステンシルという初期のバンクシーを象徴する作品です。

作品にはHMVのロゴと同じく、バズーカーを抱えた犬のニッパー。また、蓄音機が描かれています。そして、犬はバズーカーを蓄音機に向けています。

「HMV」作品の意味とは

CDが世に登場して、蓄音器やレコードの市場が破壊されました。そして、次に配信やダウンロード文化が登場してCDの市場が破壊。資本主義の発展により、スクラップ&ビルド(破壊と創造)のサイクルに晒されてきた音楽業界を描いているのでしょうか。

それとも、亡き主人(HMV)をあの世から取り戻そうと、バズーカーをぶっ放すワンちゃんを描いているのか。シンプルな表現なのに、作品から色んなストーリーや解釈が広がる秀逸な作品です。

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