1994年に公開された「パルプ・フィクション」はクエンティン・タランティーノ監督の映画です。そして、バンクシー「Pulp Fiction」は「パルプ・フィクション」のワンシーンをオマージュした作品です。
Pulp Fiction(パルプ・フィクション)の逸話と悲しい結末
パルプ・フィクションが最初に登場したのは2002年。ロンドンの若者に人気のエリア「Old Street」近くのビルの壁に描かれました。
映画「Pulp Fiction」のワンシーンの主人公「ヴィンセント・ベガ」と相棒「ジュールス・ウィンフィールド」が銃を構えるシーンがオマージュされています。ちなみに、パルプフィクションとは英語で三流小説という意味です。
この作品は2007年、治安の悪化を懸念し、ロンドン交通局(TFL)によって消されました。
その後、バンクシーは拳銃はそのままで、バナナのぬいぐるみを着た作品を同じ場所に上書きしました。上の画像がその時の作品です。
その後、19歳のグラフィティアーティスト「Ozone」がバンクシーの壁画の上から自身の作品を上書き。そして、作品にこんな言葉を添えました。
もし、次に描かれる作品がよかったら、その作品は残す...
この作品を残した数日後に「Ozone」は、不幸にも地下鉄に轢かれ亡くなってしまいました。
バンクシーが残した追悼作品
「Ozone」の追悼として、バンクシーは上の画像の作品を残しました。防弾チョッキを着た天使が右手に頭蓋骨を持った壁画です。そして、バンクシーは自信のウェブサイトに、こんなコメントを付け加えました。
Ozoneという恐れ知らずのグラフィティアーティストを無くした。彼は結局、洞察力のある芸術評論家でした。「Ozone」の冥福をお祈りします。
実は、バンクシーのパルプ・フィクションにはこんな逸話があるんです。
作品の意味と解説
この作品は一見、極めてシンプルな構成になっています。一見、有名映画のワンシーンを切り取り、構えた銃をバナナに変えているだけとも思えます。しかし、もう少し作品を深掘りすると、アートにおけるバナナは単なるバナナではありません。このバナナはポップアート界の巨匠「アンディ・ウォーホル」のバナナです。
アンディ・ウォーホルのバナナは最強の武器?
「ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」ルー・リードやジョン・ケイルの活躍で知られるバンドです。彼らが1967年に発売したファーストアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』のジャケットを手がけたのがアンディー・ウォーホルです。
そして、このアルバムジャケットのバナナはアンディ・ウォーホルを代表するデザインの一つになっています。
バンクシーは拳銃の代わりに、アート界最強の武器である「アンディ・ウォーホルのバナナ」を持たしたということです。
2004年、エディション作品「Pulp Fiction」が発売!
エディション作品の「Pulp Fiction」は2004年に発売。もちろん、発売元はPOWことPictures on Wallsです。
次に、作品のサイズですが、縦が50cm x 横70cmです。サイン入りが限定150枚。そして、サインなし(Unsigned)が限定600枚。合計750枚の「Pulp Fiction」が発売されました。黒、白、黄色とシンプルな配色ながら、シックなデザインの作品になっています。
バンクシーはPulp Fictionが嫌いだった?
このエディション作品には意外な逸話があります。そして、この逸話を知らない人も多いはずです。
バンクシーは初め、この作品をジョークのような軽い気持ちで制作しました。しかし、後に自分の求めるスタイルと違ったと後悔。作品を回収しとうとしました。しかし、時すでに遅し。エディション作品の発売後、作品の人気に火がついてしまい。その後、全作品の回収に相当な金額と労力が掛かるため、結局、作品の回収は断念。
実は、作品にこんな逸話があったんです。そして、その逸話とは裏腹に「Pulp Fiction」はバンクシーの人気作品の1つになっています。
どんなに天才のバンクシーでも自分の予想とは違う結果になる作品もある。という、珍しい作品の1つとしてもこの「Pulp Fiction」は貴重な作品です。