バンクシー作品解説と販売

バンクシー「Flying Copper」(空飛ぶ警官)の販売と解説

バンクシー「Flying Copper」の警官はライフルを持ち、重装備をしています。また、警官の顔はスマイリーになっていて90年代に流行ったアシッドハウス文化を思い起こさせます。そして、背中に天使の羽を付けたデザインは子供が描くようになシンプルな表現です。

スマイリーの笑顔... そして、ライフル銃を構えた重装備の恐ろしさ... 2つの相対するものを並べて描くことで、警官の笑顔の裏には抑圧や恐怖が隠れていることを表現しています。

「Flying Copper」は平和を守る人... もしくは、武力を行使する人... この2つの微妙な境界線を探った作品なのかもしれません。そして、作品を見る人に過剰な権威や権力を持った人には疑いの目を持って見た方がいい...そんな、メッセージなのかも知れません。

バンクシーが残したメッセージ

バンクシーは「Flying Copper」の発売に際して、こんなメッセージを残しています。

“The Greatest Crimes in the world are not committed by people breaking the rules but by people following the rules.”

世界最大の犯罪はルールを破る人ではなく、ルールを守る人によって犯されている。

何事も表面ばかり見るのでなく、奥に何が隠れているのか、考えろということでしょう。

伝説のゲリラエキシビション「Turf War」で初登場

(権力の象徴である警察官がスマイリーの顔をした「Flying Copper」)

「Flying Copper」が最初に登場したのは2003年5月。イースト・ロンドンで開催された伝説のゲリラエキシビション「Turf War」の会場でした。

上の画像のように、厚紙でスマイリー警官の形に切り取られた作品が天井から吊るされて展示。また、羽の付いたスマイリーの警官...笑顔だけど、ライフル片手に重装備... 

平和を守るものは、脅威・恐怖にも変わりうる。そんなメッセージなのかも知れません。

その後、この「Flying Copper」はウィーン、ロンドン、ベルリンなど色々な街の壁にも描かれています。しかし、2005年以降は、このデザインはほとんど描かれていません。

Turf Warに展示された「Flying Copper」

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次に、こちらは、2003年に「Turf War」で天井から吊り下げられた厚紙の作品が額装されたものです。こちらは2016年にバンクシーの元代理人が開催した非公式エキシビション「The Art of Banksy」に展示された作品です。

エディション作品(版画)「Flying Copper」

2003年、バンクシーは「Flying Copper」の限定エディション作品を発売。サイン入りが限定150枚。サインなしが限定600枚。また、サイズは縦100cm x 横70cmとかなり巨大な作品です。

その他にも、背景がピンクのサイン入り作品が63枚。そして、一番貴重なのが、スマイリーの顔がピンクのバージョンで、限定8枚でした。

「Flying Copper」発売当初の逸話

この頃のバンクシー は今と比べ、全く人気がありませんでした。驚くことに、バンクシーと彼の元代理人のスティーブ・ラザリデスは、ラザリデスの車の後ろから作品を販売したそうです。

当時の作品価格はたったの40ポンド。今のレートでも8000円程度です。2024年現在サインなしでも、500万円は下らないので、600倍以上価格が上がっています。

ウィーンに描かれた「Flyigng Copper」の壁画

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こちらはバンクシーがウィーンに残した壁画です。バンクシーがイギリス以外ではほぼ無名の時期に描かれた作品です。なので、おそらく今はこの壁画は残っていないでしょう。

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上の画像は、プラカード上に描かれたスマイリーの警官です。しかし、これは「Flying Copper」とは違い、羽がありません。バンクシー活動の初期は、よくデモ行進に自分の作品を忍ばせていました。なので、これもデモ行進の時の写真だと思います。

こちらは、アムステルダムにある「Moco」美術館に展示されていた作品。

Riot Copper 2002

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こちらは「Riot Copper」というオリジナル作品です。2002年に制作。また、サイズは30.5cm x 30.5cmと小柄な作品です。そして、おそらく「Flying Copper」の原型となる作品です。まず、スマイリーの顔は同じですが、こちらは警棒を持っているだけで、背中の羽も生えていません。色々な表現を試していくうちに「Flying Copper」が誕生したのでしょう。

バンクシー Flying Copperは何を伝えたいのか?

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形を変えながら、最後には、この形に落ち着いた「Flying Copper」。

笑顔の象徴のスマイリーと天使の羽....そして、暴力の象徴のライフルを構えた重装備の警官...相反する2つの要素を1つの作品上で組み合わせることで、見るものに色んなメッセージを伝えます。

世の中には笑顔と同時に、恐怖や威嚇も持ち合わせる人がいるから気を付けないと行けない。または、物事は表面に見えるものだけで判断してはいけない。それとも、警官は怖い 一面もあるが、天使のような存在である。

あなたはこの作品からどんな印象を受けますか?

どちらにせよ、「Flying Copper」はバンクシーの初期作品の中で最も象徴的な作品の1つです。作品の分かりやすさと強烈なインパクトは

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