ニュース

バンクシーの新作がロンドン北部に登場!SDGS、環境問題へ批判?バンクシーが伝えたかったメッセージを考察

2024-03-19

バンクシーの作品としか思えないアートワークが2024年3月17日、ロンドン北部のフィンズバリーパークのアパートの壁に投下。地元住民はざわめきながらSNSで拡散、「バンクシーの最新作ではないか?」と噂になっていたところ、翌日にバンクシー本人が公式インスタグラムで自分の作品であることを認めました。

バンクシーによる実際の投稿↓

コメント欄には何のメッセージもなく、ただ、3枚の画像が投稿されている。

一枚目はとてもプロの剪定とは思えない桜の木と白い壁のみの写真。

二枚目の投稿では、緑のペンキを木の葉に見立てて壁に吹き付けられています。一見すると、葉っぱを付けなくなったこの大木をバンクシーが哀れみから「フェイクグリーンで蘇らせよう」と描き足したのだろう、と感じるかも知れません。ところが…

最後の投稿には、庭木に薬剤を散布するときに使う噴霧器を手にした人間が傍に立ち、木を見上げている様子をバンクシーは描いています。なぜでしょうか?

地元の人々の様子

この作品がバンクシーのものだと分かった後、多くの人がこの場所に駆けつけ、写真や動画を撮影していました。

バンクシーが伝えたかったメッセージを考察

庭師の視点からの解釈

バンクシーが新作を残していった場所は、ロンドン北部の「フィンズバリーパーク」という移民や外国人が多く暮らす街で、正直なところ、旅行者が抱くロンドンのイメージとはかけ離れた薄汚い街です。僕自身 15〜6年前、このエリアにある学校に通っていたので、この街の雰囲気はよくわかっているつもりです。

上の画像一番左は、2022年6月、新緑の季節に撮影された写真とはいえ、葉が生い茂っています。しかし、2023年春に撮影された木は裸木。とても自然や樹木に関する知識を持っている庭師が選定したとは思えない有様です。

そして、今年 3月、バンクシーによって手が加えられたこの木の姿(もちろん、木は何も傷つけられていません!)。こうなることは必至だったと言わねばなりません。

自治体の職員によると、この木は樹齢40〜50年の桜の木で、既に弱っていたそうです。なので、木の健康と寿命を伸ばすために剪定していたそうですが、それならば何故この桜の木は息を吹き返さないのでしょうか?

その原因は、温暖化により冬でも気温が高く保たれ、害虫に蝕まれやすい状況にあることと、素人による選定作業が病気にかかりやすくさせ、枯れる事案が相次いでいるとドイツ在住のガーデナー(庭師)は語気を強めて訴えます。

消毒剤を散布しないがぎり、5年〜10年後にはこの木はカビに覆われ、やがては伐採しなければならなくなるそうです。

行き過ぎたSDGSとグリーンウォッシュ

グリーンウォッシュとは環境に配慮した、またはエコなイメージを思わせる「グリーン」と、ごまかしや上辺だけという意味の「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語です。

日本でもEV(電気自動車)やソーラーパネルなど、一部の人間が儲かる仕組みにあり、政治家へゴリ押しを進めている制作は無理矢理にでも可決しようと動きます。ところが、人々に心に安らぎを与え、明るい気持ちにさせる、この裸木の息を吹き返させるような動きは無視されがちです。

どことは言いませんが、日本でも木々が伐採されまくっています。

そんな環境問題の矛盾に対するメッセージをバンクシーは伝えたいのかもしれませんし、お世辞にも美しいとは言い難い街に桜咲く素敵な春を戻したい...という気持ちがあったのかもしれません。

ディズマランド(Dismaland)にしろ、バンクシーが作品を残した場所は観光地化して、多くの人が集まります。ロンドンではバンクシーのミューラル(壁画)ツアーが定期的に開催されているので、ここに作品が残る限り、多くの人がこの場所を見に訪れるでしょう。

しかも、バンクシーが作品を残していったこの場所は、日本でいうところの公団住宅で、今は誰も住んでいません。今後、この地区の人気と家賃が上がるかもしれませんね。

バンクシー新作の意味とは?

バンクシーが残していったアートワーク、それは、不自然に選定された桜の裸木と白い壁一面に拡がる緑のペイント、消毒剤の噴霧機を手にした人が木のそばで見上げながら立っている姿が描かれています。そのペイントの意味するものが、この裸木を助けるための消毒剤噴霧を要望しているのか、意味をなしていない(結果が出ていない)SDGs、グリーンウォッシュへの批判の声を大きくしていきたいのか、気候温暖化による問題をこの作品を目にする人たち全員に「自分事」として受け止めてもらいたいのか。いずれにしろバンクシーはこの場所をもう一度春の訪れを感じられる、そして、この街に暮らす人が自然の恵を享受できる街にしたいのだろうと考察します。

バンクシーはなぜこの場所に作品を残していったか?

バンクシーが前回、作品を残したのは去年、2023年12月でした。ロンドン南部のペッカムという危険なエリアの道路標識に作品を残した結果、1時間もしないうちに作品は2人の男によって盗まれてしまい、もしまだ、この出来事を知らないという方はこちらの記事をご覧ください。

バンクシーの新作がロンドン南部に登場。しかし、本物と確認されて1時間も経たずに、2人の男によって盗まれる。

しかし、今回の作品はちょっと違います。前回の事件を考慮してか、4階建ての公団の壁一面にペイントを吹き付け、大きな木まで含め、合わせて1作品にしているので、簡単に作品を盗むことはできません。

バンクシーは、作品が盗まれたことに関して何のコメントも発表していませんが、今回のアートワークを見る限り、新作を盗まれずに末長く作品を残し、壁画ツアーを楽しみに多くの人が世界中からロンドンへ訪れてくれれば、と考えているかも知れません。

-ニュース
-

blank