2005年10月12日から約2週間、Banksy(バンククシー)はロンドン・ノッティングヒルから歩いて5分ほどの場所に、大型エキシビションを開催した。
2003年に開催された伝説のゲリラ・エキシビション「Turf War」以来、2度目の大型エキシビションで、エキシビションの名前は「Crude Oils」。
過去の名作へのオマージュ・リメイク作品を中心に展示。「Turf War」の時と同じく事前に告知なく、ゲリラ的に開催された。
ここから「Crude Oils」に展示された他の作品の一部を紹介して行こう。
アンディ・ウォーホル作品へのオマージュ「ケイトモスとSoup Can」
ジャック・ベトリアーノ「The Singing Butler」へのオマージュ
スコットランド出身の画家ジャック・ベトリアーノの名作「The Singing Butler」の後ろで、ガスマスクを付けた作業員が原油の缶を運ぶ姿がとても印象的な作品。
イギリスの人気ニュース番組「Channel4」でも大々的に報道された。その時の、ニュース動画がこちら。
生きたネズミも展示の一部に....
会場には200匹のネズミが展示されていた。というか、放し飼いにされていた。
入場料は無料だが、入場するには「ネズミの糞の上に滑って転んで、腰の骨を折っても、訴えません」という、半分ギャグのような誓約書にサインするのが条件だったようだ。
エキシビション開催期間中の来場者全員に当てはまるかどうかわからないが、
実際にこのエキシビションに足を運んだ人が、あるインタビューで「エキシビション会場の滞在時間はたった3分で、駆け足で作品を見ないと行けなかった」と語っていた。
エドワード・ホッパー「Nighthawk」のオマージュ
花のないヴァン・ゴッホの「Sun Flower」
アンディ・ウォーホルのマリリン・モンローをオマージュした「Kate Moss」
バンクシー・サイン入りエディション作品の中でも「Girl with Balloon」に匹敵するほど人気のある「Kate Moss」。そのオリジナルキャンバス作品が一般公開されたのは、おそらくこのエキシビションが初めて。
ちなみにサイン入りエディション作品の「Kate Moss」が発売されたのが、同年の2005年11月。当時、バンクシーの代理人を務めたスティーブ・ラザリデスのギャラリーから発売された。
バンクシーの彫刻作品
ガスマスクを付けた貴婦人
モネ「睡蓮の池」へのオマージュ
ショッピングカートやコーンが睡蓮の池に沈んている。
iPodで音楽を聴く、聖母マリアとキリスト?
エキシビション期間中、生きたネズミを展示したせいか、周辺の会社が抗議をした。衛生検査官がエキシビション会場をチェックしたが、特に何の問題もなかった。
バンクシーはこういう所にもぬかりがない
同年の3月(2005年)、バンクシーはニューヨークにあるMOMA、メトロポリタン美術館、アメリカ自然史博物館、ブルックリン美術館などの4つの美術館 に無断で自身の作品を展示し、世界中でこのニュースが報道された。
いつ削除されるかわからないが、Youtubeに当時の様子を写した動画あったので、ここに貼り付けておく。
時期は少しずれるが、イギリスの大英博物館やパリのルーブル美術館にも無断で作品を展示するパフォーマンスをしている。
2005年3月にニューヨークの4大美術館に無断で作品を展示。10月には大型ソロエキシビション「Crude Oils」の開催。
これらの2005年の活動は、バンクシーが2006年9月にLAで開催したアメリカ初の大型エキシビション「Barely Legals」の成功に向けての布石だったのかも知れない。