落書き、嘘、そして悪戯の展覧会
2002年7月19日から8月18日にかけて、バンクシー(Banksy)は、フランク・ソーサがオーナーの33⅓ Galleryで、初のアメリカ・ロサンゼルス(LA)でのエキシビション「Existencilism(イグジステンシリズム)」を開催しました。このエキシビション(個展)は、バンクシーがスティーブ・ラザリデス(当時の代理人)らと共にロンドンでギャラリー「Pictures on Walls(POW)」を立ち上げるより前のことで、ストリート・アーティストとしてのバンクシーを知る人も今に比べればまだほんの僅か、その人物像も謎に包まれていた時代の出来事です。
Existencilism(イグジステンシリズム)はバンクシーによる造語
エキシビション「Existencilism」は、2002年5月にバンクシー(Banksy)が自費出版した彼の2番目の本のタイトルでもあります。「実存主義(Existentialism)」という哲学用語と、「ステンシル(stencil)」というアート技法を掛け合わせて「Existencilism(イグジステンシリズム)」という造語を生み出しました。これは、彼がストリートアートとステンシルアートを、哲学のように深く重要なものと考えていることを示しています。
Existencilismは、バンクシー(Banksy)にとってアメリカでの初のエキシビション(展示会)でありながら、ほとんどの作品が完売するという快挙を成し遂げました。
このエキシビションでは、バンクシーの最もアイコニックな作品の数々が展示され、彼の芸術性が広く認知されるきっかけとなりました。展示された作品には、「Love Is In The Air」、「Barcode」、「Queen Victoria」、「Laugh Now」といった名作が含まれていましたが、さらに数年後、バンクシーはロサンゼルスに戻り、さらなる大成功を収めるエキシビション「Barely Legal」を開催することになります。