2009年夏、Banksy(バンクシー)は自身の故郷でもあるイギリス西部の都市ブリストルが運営する美術館「Bristol Museum(ブリストル美術館)」で、エキシビション「Banksy vs Bristol Museum」をゲリラ的に開催しました。
「ゲリラ的に」というのはエキシビションが開催されるまで、限られた関係者以外、バンクシーのエキシビションがブリストルで開催されることについて知らされていなかったからです。
バンクシーは「Bristol Museum=ブリストル美術館」を完全に占拠し、西洋絵画を中心に展示するこの美術館を一夜で怪しい動物園のように変えてしまいます。
エキシビション Banksy vs Bristol Museumの動画
ネイルケアに夢中のウサギ
アルコールに呑まれたドナルド?
美術館の出窓に腰掛けるのはアルコールにやられたドナルド・マクドナルド?となりには酒瓶らしきものが...。
6月13日から8月31日まで開催、入場料は無料
こんなの見せられたら、次食べる時、躊躇しませんか?
このエキシビションでは、金魚鉢で泳ぐ白身魚のフライ、動物のように動くホットドッグや、鶏の卵から生まれて動き出すチキンナゲットなどが巨匠達の絵画、彫刻作品の間に展示され、美術館のあらゆる場所に散りばめられました。
機関銃を背負った少女
フランスの画家ミレーの作品をオマージュしたようなBanksy(バンクシー)の作品。有刺鉄線の前で機関銃を背中に掛け農作業中の少女。
お前、誰だ?
ってな、感じでしょうか。
「No Ball Games」 後にペーパー作品にもなりました
このエキシビションが開催された同年(2009年)の12月に、背景がグレーでサイン入り 250枚限定の「No Ball Games -Grey」と、背景がグリーンのサイン入り 250枚限定の「No Ball Games -Green」の2種類のエディション作品が発売されています。
焼け焦げたアイスクリームトラック
ブリストル美術館のメインホールは彫刻作品のスペースへと変わり、熱で溶けたアイスクリームが屋根からこぼれ落ちるというアイスクリームトラックが展示。
ペンキ缶を被った天使の彫刻
「Banksy vs Bristol Museum 」では、合計100作品以上が展示されました。
展示作品のほとんどが未公開、2009年時点で過去最大規模のエキシビションになりました。エキシビションがオープンすると、バンクシーの作品を一目見ようと人々は会場前に列を作り始め、時には、入場するのに最大7時間も並ぶほどの長蛇の列になることもありました。
Monkey Parliament
会場内で販売されたポスターのデザインにもなった「Monkey Parliament」
Banksy (バンクシー)のスタジオを再現したインスタレーション
欧米人の旅行客と人力車を引く子供
名画の間に展示されたBanksy (バンクシー)の作品
Banksy(バンクシー)は、エキシビション「Banksy vs Bristol Museum」について、あるメディアにこう話しています。
市民の税金を使って、自分の作品が消されることはあって、市民の税金で作品を展示したのは、今回のエキシビションが初めてだ。
Bristol Museum(ブリストル美術館)はブリストルの自治体、つまり、市民の税金によって運営されています。
現在、バンクシーのグラフィティアート(Graffiti Art)が壁に残されると十分な観光資源になりますが、まだ名もない頃のバンクシーは何度もブリストルの街の壁にステンシルを使ってグラフィティアートを残しては市の職員がその都度、消してきました。
鶴の恩返し、ならぬ、バンクシーの恩返し。
「Banksy vs Bristol Museum」の入場料は無料でした。
今回のエキシビションはこれまで自身のアーティスト活動で迷惑をかけてきたブリストルの住人に送った「せめてものお返し」だったのかもしれません。
こんな人間味の溢れる所が、バンクシーの魅力を一層引き立たせてくれます。