バンクシーがロンドン・ダルストンでゲリラ開催したエキシビション「TURF WAR(ターフ・ウォー)」
バンクシー(Banksy)は、2003年7月18日、ロンドン・ダルストンでゲリラ的にエキシビション「Turf War(ターフ・ウォー)」を開催しました。
このダルストンという街、現在は音楽、アート、ファッションで人気のエリアになっていますが、当時は訪れるのを躊躇してしまうくらいの古汚い街で、バンクシーが会場に選んだのは倉庫でした。
この倉庫があるストリート名は伏せられ、番地の「475」しか知らされない中、エキシビション Turf War(ターフ・ウォー)は始まります。しかし、その物議を醸す展示内容から、三日後には中止。
当時を知る人々は口を揃えて、これをきっかけにバンクシーがグラフィティアートの力で裏さびれた街を再生していった、と熱く語ります。
ブランダリズム(BRANDALISM)の意味
ブランダリズム(Brandalism)という言葉は、「Branding(家畜に焼印を押す行為)」と「Vandalism(破壊行為)」を掛け合わせたバンクシー(Banksy)による造語です。本人もインタビューで「ブランダリズムという言葉は思い入れがあり、とても気に入っている」と答えています。
アンディ・ウォーホルの顔を「牛」に焼印しまくり!?
「そんなにたくさん、身体中に焼印を押されたのか…。痛くなかった?😭」あまりのショックで見ているこっちがぶっ倒れそうになる牛たちが展示。
でも、安心してください。家畜に焼印を押すようにバンクシーがステンシル・スプレーでペイントしただけです。
ですが何分、初めての試み。こんなアートショーを開いたグラフィティ・アーティストは他にはいません。免疫のできていない動物愛護団体からは批判を喰らい、会場に座り込み抗議活動する活動家もいたほどです。
バンクシーは、公式作品集で
ここに掲載されている写真は一切デジタル加工されていません。全てのアートワークは本物です。この本の制作過程で動物は傷つけられていません。これはくそったれな広告代理店のための資料マニュアルではありません。
Existencilismから
と、明言しています。
結局、バンクシーの作品は物議を醸しすぎて、開催3日後には逮捕状が出され、予定されていた一週間のエキシビション(展示)はわずか3日間で終了することとなりました。
Flying Copper
エキシビションでは、警察官がスマイリー × 天使になった「Flying Copper」や、ジム・フィッツパトリックが制作するチェ・ゲバラ「Viva Che」をオマージュした作品、「Love Rat」、「Toxic Mary (Double)」ほか展示。
【チェ・ゲバラ】ジム・フィッツパトリックの名作「Viva Che」をオマージュ
ジム・フィッツパトリック
「Viva Che」をオマージュした作品
Love Rat
Toxic Mary (Double)
赤ちゃんに飲ませているのが身体にいい栄養たっぷりのミルクかと思いきや、実は悪魔の飲み物だったっていう恐ろしい話。
会場近くに残されていった Happy Chopper × Have A NICE DAY
地下鉄のポスターに描かれたバンクシーのネズミ
バンクシーに会えなかったセレブたち
「時の人」バンクシーに会いたいとジェイミー・オリバー(イギリスの家庭料理といえばこの人。いや、ジェイミー、肉料理ばっか出すやん!)やBBCでキャスターを務めていたサラ・コックスなど、イギリスのセレブも会場へ足を運びましたが、誰一人としてバンクシーに会えた人はいなかったようです。