このブログでバンクシーの作品について書く時は、基本的に「本物のバンクシー作品」か「オフィシャルアイテム」についてだけ書くようにしています。
なぜなら、怪しい作品があまりにも多く市場に出回っていて、混乱してしまうからです。ストリートに残された無数の道路標識。エンドレスに出てくる、段ボールアート。そして、偽物のCOAが付属する作品などなど、怪しい作品は多岐に渡ります。
本物のバンクシー作品価格が高騰するにつれ、WCPについての問い合わせがかなり増えています。しかも、国内では、複製品のWCP作品を数十万円で販売するショップも出てきています。
複製品のWCPに「本物か偽物か?」という質問が多数来るのも驚きです。
WCP作品の購入を検討している方へ...
ここからは2015年からWCPと直接取引きをしてきた僕が、実際の経験を元にWCPについて解説します。今後、WCP作品の購入を検討している方は必見の内容です。
ことあるごとに、WCPとは密に連絡を取っているので、日本国内ではかなり付き合いは長い方です。ここでは言えませんが、WCPの名前も知っています。
ちなみに、最近では国内でWCPだけを展示した個展も開催されています。初めは「複製品の個展ってどういうことやねん?」っと思いましたが、複製品さえも個展として成立してしまうバンクシーの知名度・評価が上がったということの表れでもあります。
それではWCPについて解説します。
バンクシーのWCPとは...
まず、WCPとはWest Country Prince(ウェスト・カントリー・プリンス)の略のこと。 ちなみにウェスト・カントリーはバンクシーの故郷「ブリストル」のことを表しています。そして、プリンスは王子のことです。バンクシーとどこか関係がありそうで「実はWCPはバンクシーでは?」と思わせる秀逸なネーミングでもあります。
WCPはバンクシー作品の複製品(リプロダクション)を制作する団体・個人です。
WCPはバンクシーのシルクスクリーン作品を複製する技術が評価を受け、本物のバンクシー作品を所有するコレクターからも評価されています。面白いことに、好きなタイトルは本物のバンクシー作品。それほどではないタイトルはWCPで済ますというコレクターも多く存在します。
WCPはなぜ人気が高いのか?
WCPは複製品なのになぜ人気があるのか?これについて、WCP本人が以前こう話していました。
本物のバンクシー作品を印刷していた職人がWCPのシルクスクリーン作品を印刷している。
作品を印刷する人が一緒なら、作品の質もほぼ同じ...だから、WCPの作品が評価を受けているのは納得ができます。
WCP 関連の偽情報に惑わされるな!
バンクシーは覆面で活動しています。それもあってか、WCPも同じくほぼ自身の情報を公開していません。以前はこっそり見れた名前も最近は消されています。
日本のあるギャラリーはWCPについて 以前こう書いていました。
2017年12月、バンクシー作品の販売元のPOW(Pictures on Walls)が15年の歴史に幕を閉じ、翌年の2018年春頃に、WCPが登場した。
しかし、2013年頃から既にWCPの作品を取り扱っているギャラリーもありますし。さらに、僕も2015年頃から、かなり密にWCPと直接取引しています。そして、そのやり取りも残っています。なので、WCPが2018年に登場したというのは間違いです。
POWの閉店とWCPの登場に関連性はありません。
POWが閉店して、そのPOWの関係者がWCPを始めたのではないか.... という推測を展開したいのでしょうが、それは違います。
これは1つの例に過ぎません。WCPはバンクシー同様、あまり情報を公開していません。なので、間違った情報も多く流れているので気を付けて頂きたいです。
なぜWCPだけが、継続的にバンクシーの複製品の製作、販売を許されるのか?
バンクシーはペストコントロールのサイトでこんなことを書いています。
*ペストコントロールとは2008年に設立されたバンクシー作品 唯一の認証機関。
非営利目的でバンクシーの画像を使うのは問題ありません。BanksyやPest Controlは第三者が商用目的でバンクシーの作品や画像を使うことは認めていません。
バンクシーの画像を勝手に商品に使ったり、バンクシーの作品だと騙して販売するのはやめて下さい。Banksy 唯一の公式作品集「Wall and Piece」で「商標権は負け犬のものだ」と書いています。だからといって、バンクシーの画像・肖像を使って詐欺を働くのはよくない。
僕らはいつもチェックしています。
バンクシーは自身の作品や画像を商用で利用することを認めていません。しかし、なぜWCPだけがずっと作品の製作・販売を許されるのか?
今の所、僕が考える理由は2つ。
まず1つ目。
WCPが初めから本物のバンクシー作品でなく、リプロダクション(複製品)と明示して販売していること。
2つ目は、
上でも書いたようにWCPの作品を印刷しているのは、バンクシー作品を印刷した職人と同じということ。
1つ目の理由については。
WCPが制作する複製品は初めからリプロダクションとして販売されています。なので、コレクターが騙されて困る必要がないために、暗黙の了解で許されているのかもしれません。
2つ目の理由について。
WCPの作品を印刷しているのは、バンクシーの作品を印刷していた職人である。とWCPが話していたことにその理由があるのかもしれません。これは憶測の域を越えません。しかし、バンクシーが自身の作品を印刷していた職人に借りがあるのか、WCPの印刷・販売を黙認しているのかもしれません。
バンクシー WCPのシルクスクリーンプリントに偽物はあるのか?
このブログによく来る質問の内容の一つが「このWCPは本物ですか、偽物ですか?」という質問です。
率直な意見としては「リプロダクション(複製品)に「本物も偽物もない」が本音です。複製品は複製品で、WCPはバンクシー作品の良質な複製品・リプロダクションであることをまず理解して頂きたいです。
でも、最近では国内のギャラリーでWCPを数十万円で販売しているギャラリーやショップも出て来ています。さらに、最近はメルカリやヤフオクにWCPの偽物が出品されているそうです。
なので、買おうとしているWCPが本物かどうか、WCPが印刷したものかどうかいくつか見分けるポイントを紹介させて下さい。
WCPが本物かどうか見分ける3つのポイント
- WCPのスタンプが押してある。(WCPのスタンプ、Banksy Copyのスタンプ)
- エディションナンバーが入っている。(Girl with Balloonには入っていないものもある。その代わりBanksy Copyというスタンプが入っている場合もある。)
- シルクスクリーン印刷である。偽物は紙質が悪い。スタンプが鮮明すぎる。(←これはこの記事が分かりやすく説明しています。)
*WCPの人気に火が付いたのはここ数年のこと。すべてが上の3つの条件に当てはまるわけではありません。
今後、WCPを購入の際は良質な複製品を買っていることを理解して頂きたいです。そして、その上で劣悪な偽物を掴まされないように気をつけて下さい。WCPはあくまでリプロダクション(複製品)です。なので、価格の値上がりを期待して、投資目的で購入するのは絶対にやめて下さい。
バンクシーWCP作品を購入したい、という方へ!
現在、このブログでは、WCPの作品は直接販売はしていません。しかし「WCPの作品を購入したい!」という方は、こちらの提携先のギャラリーやショップから購入できます。なので、興味のある方はこちらのサイトからチェックして下さい。