今から数十年経って過去を振り返った時、2019年はBanksy(バンクシー)のアーティストとしての歴史を語る上でとても重要な年になる可能性は高い。
なぜ、2019年がバンクシーにとって重要な年なのか、バンクシーが2019年に披露したパフォーマンスや事件を振り返りながら、「2020年以降バンクシー作品の価格がどうなっていくか」考察して行きたい。
小池都知事とバンクシーの(?)「アンブレラ・ラット」
2019年1月、世界的に見ると影響は少なかったかも知れないが、小池都知事が都内にあった(バンクシーの?)ネズミ「アンブレラ・ラット」と一緒に写った画像をツイートすると、バンクシーのニュースが日本全国に拡がり、アートに興味のない人までバンクシーの名前を知る事になった。
その後、「千葉のバンクシー」「高松のバンクシー」など立て続けに明らかに怪しいバンクシーが日本のあちこちで出てきた。
ちょっと知っている人なら、すぐに「これは本物でない!」と分かるものまでニュースに取り上げられるほど、日本でのバンクシーに対する関心が高まるきっかけになったのが、この東京都内の「アンブレラ・ラット」だ。
都内の(バンクシー?)ネズミの影響は...?
この頃から、日本人からのバンクシー作品に対する問い合わせが圧倒的に増え、日本中のテレビ、ウェブメディア、SNSなどあらゆる媒体でバンクシーが新しいパフォーマンスを披露する度に、バンクシーについて伝えるようになった。
一方で、ヤフオクなどフリマサイトで「本物のバンクシー作品」と謳う、粗悪な偽物が大量に出回るようにもなった。
これから「バンクシーの作品を購入して飾りたい!」という方はこちらの記事をまず読むことをお勧めする→BANKSY (バンクシー作品) の「本物と偽物の見分け方」.
バンクシー公式オンラインショップ「GDP」
2019年10月1日、バンクシーは「BANKSY」の著作権をめぐる法的訴訟をきっかけに、公式オンラインショップ「Gross Domestic Product」をオープン。
通常、数百万円は軽くするサイン入り作品をたった7万で販売したり、魅力的な作品・商品がバンクシーのオフィシャル作品ではありないバーゲン価格で販売された。
販売方法は抽選で、日本人を含め、世界200か国の人が、この抽選販売に参加。
通常なら、バンクシーの作品に手の届かない人々に大きな期待を与え、実際に、このサイトにも「バンクシーのサイン入り作品が当たった!」と日本のコレクター数人から報告があった。
初期の頃から、これまでずっと現代アートとは距離を置くスタンスを取ってきたバンクシー。
資金が豊富にある現代アートコレクターだけでなく、一般庶民までがバンクシー作品を手に入れられる機会を作り、SNSを駆使した圧倒的な発想力と独自性、影響力を世界中の人に見せつけた。
ちなみにバンクシーは、このオンラインショップから生まれる収益の大部分を難民支援団体に寄付するそうだ。
過去最高額13億円で落札された「Devolved Parliament」
おそらく、2019年、バンクシー作品の価格に1番影響を与えたのはこのニュースだろう。
公式オンラインショップオープンから数日後の2019年10月4日、英サザビーズのイブニング・オークションでBanksy(バンクシー)過去最大級の作品「Devolved Parliament」がオークションに掛けられて、過去最高額の約13億円で落札。
「Devolved Parliament=サルの議会」の予想落札額は日本円にして約2億円〜2億6000万円(150万ポンド〜200万ポンド)だったが、落札結果はなんと、予想落札額の5倍で約13億円!(987万9500ポンド)。
ちなみに、この作品は2008年当時、過去最高額の約1億9千万円で落札された「Keep it Spotless」の6.5倍以上の落札額で前回の記録を大幅に塗り替えた。
13億円のサルの議会がさらに現代アートコレクターを引き寄せ、どんどん市場価格を押し上げている。
バンクシーの作品「サルの議会」が過去最高額の13億円で落札され、10億円(もしくは1000万ドル)の大台を突破した。
その結果、今までバンクシーの作品に見向きもしなかった現代アートをメインに高額作品を集めるコレクター達や大きな組織が、バンクシーの作品を以前よりさらに急ピッチで買い始めているようだ。
例えば、2019年10月から1〜2ヶ月の間に、サインの有無を問わず、実に多くの作品がギャラリーやコレクターの手元から消えた。人気作品なら3〜4割価格が上がり、今まで確認できた中の最高は、10月〜11月の1ヶ月間で2倍も値上がりした作品もあった。
2020年日本初、バンクシー大型エキシビションが開催!
2020年、もちろん非公式(バンクシー主催ではない)だが、日本でも初めてバンクシーの大型エキシビションが2つ開催される予定だ。
・1つはこれまで世界4都市で開催された「バンクシー展 天才か反逆者か?=GENIUS OR VANDAL?」で、2020年3月15日〜9月27日まで横浜のアソビルで開催の予定。
・2つ目は2020年8月29日〜12月6日まで、東京の寺田倉庫G1ビルで開催される「BANKSY展(仮称)」.
これまで、ネットやテレビでしか観る事の無かったバンクシー作品を直に観る事で、日本でのバンクシー人気がさらに上がる可能性が高そうだ。
2020年以降のバンクシー作品はどうなるのか?
2020年以降も、これまでこのサイトでずっと言ってきたように「2019年公式オンラインショップでの抽選販売」「過去最大サイズの【サルの議会】が約13億円で落札され、過去最高額を大幅更新」した時のような、インパクト抜群のニュースが、SNSやメディアを通じて世界に発信される度に「バンクシーの作品を飾りたい」という人が増え、価格が上がる傾向は続くだろう。
バンクシーが今のような活動・活躍を続け、さらに世界の経済が発展し続ける限り、今のような状態が続くだろう。
サイン入り作品の価格高騰がエグい!(2020年1月24日追記)
サイン入りのバンクシー作品はエディション番号のみ(Unsigned)の作品に比べて、圧倒的に数が少ない。
作品のタイトルによって違うが、エディション作品の枚数は「サイン入り1:エディション番号のみ5」「サイン入り1: エディション番号のみ4」の比率が多く、圧倒的にサイン入り作品が貴重なのは、作品の枚数だけを見てもわかる。
そこへきて、貴重なサイン入りを手放すコレクターやギャラリー、ミュージアムの数は圧倒的に少ない。
最近の傾向として、サイン入り作品を購入するコレクターはこれまで高額な現代アート作品を購入してきたコレクターが多い。
あるタイトルの作品の売買が成立した後、同タイトルのサイン入り作品が市場に出て来た時、そのサイン入り作品の価格は100万、200万円と簡単に高騰して行くが、彼らはそこまで細かい価格の上昇は気にしないので、面白いようにどんどんバンクシーの作品の価格は上がって行く。
トップクラスの人気タイトルになると、一気に500万〜1000万円くらい価格が高騰するサイン入り作品もある。
人気のサイン入り作品については、これからどんどん1000万円の大台を越えてくる作品が増えてくるだろう。
ピカソ、ダリ、バンクシー? 歴史に名を刻み続けるバンクシーの作品は欲しい時、買える時に買うのがオススメ!
おそらく、このままの勢いでバンクシーが活躍を続ければ、50年後、100年後には、ピカソやダリのような歴史に名を残す画家と同じ土俵で評価される可能性が濃厚だ。
既に、「バンクシーはピカソやダリよりも上だ!」とか「画家の評価は死んでからしか出ない」と色んな意見を言う人もいるかもしれないが、どちらにせよ、過去や未来を探しても、バンクシーと同じような人はいない唯一無二のアーティストである事は間違いない。
ピカソやダリなどの作品を自宅に飾っても、新しい作品が生まれることはないし、新しいパフォーマンスが世界中でニュースになることもない。
しかし、バンクシーなら公式インスタグラムに新しい投稿がアップされる度に、その興奮をリアルタイムで感じることができる。
こんな21世紀版「アートの楽しみ方」を出来るアーティストは、今の所バンクシー以外見当たらない。
繰り返しになるが、2020年以降も、世界の経済成長が続き、アート市場に十分に資金が流れ込み続ける限り、ここ3−4年の流れに引き続き、緩やかにバンクシー作品の市場価格が上昇しそうだ。
そして、過去最高の13億円で落札された「サルの議会」の時のように大きなニュースが出た時は、バンクシー作品の価格は一気にドカーンっと大幅に値上がりする可能性が高い。
2020年も引き続き、「欲しい作品が出てきた時」「この作品なら買える」と思える作品があれば、すぐに買うことをお勧めする。