2019年1月17日の昼、小池百合子都知事は、バンクシーがボムしたかも知れないとされるアンブレラ・ラット(=ネズミ)と一緒に映った写真をツイートした。と、同時に「遂にバンクシーが日本にも作品を残したのではないか?」というニュースが日本中を駆け巡った。
実際のツイートがこちら
東京都知事のツイートを受けて、いろんな人たちがこの話題に参戦している。「こんなんフェイクに決まってる」とか。また、ネズミ(=Rat)が持つ傘が福島の原発から降り注ぐ雨をかわしているんじゃないか?とか。
目の付け所が流石だな、と思ったが。しかし、もし、これがバンクシーが残していった本物だとしても、2010年に公開されたバンクシーの初映画監督フィルム「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」や本にこの写真と酷似したネズミがすでに登場していることから、特に福島の原発問題や東京オリンピックと結びつける必要もないだろう。
初めはバンクシーが残していったものではないと考えた。
これまで Banksy(バンクシー)が人の関心を引く手段としてストリートに放ってきたメッセージの内容を考えると、このネズミは本物でないと思った。
Banksy(バンクシー)が作品に込めるメッセージは、人間の根源的問題を深く考えさせられるものばかりだ。
こんな場所に残して行って何の意味がある?
風雨にさらされてスプレーが薄くなったとはいえ、クオリティが低すぎないか?
むしろ、小池百合子都知事はバンクシーの話題をツイートすることで、世界の注目を東京に集めようとしただけではないだろうか?
直感やインスピレーションではなく、頭で理論的に考えた末、そう思った。
東京都の対応
都は本物かどうか、調査に乗り出したらしい。新聞の一部記事には「専門家たちが調査に乗り出す考え」....とあり、現在はステンシルされた防潮扉を倉庫で保管しているようだ。
このネズミが本物かどうかを知りたければ、直接、ペストコントロールへ連絡を取ればすぐに返事は返ってくるだろう...と思いがちだがそうもいかない。
なぜなら、理由は簡単だ。ペストコントロールのサイトには「ペストコントロールは合法的なアート作品のみを取り扱い、いかなる違法行為にも関与しない。」とあるからだ。
今話題になっている東京のネズミは東京都の防潮扉にステンシルされたものである。なので、何か特別なことが起こらない限り、ペストコントロールからCOAが発行される可能性は少ないだろう。というか、ないだろう。
では、
今回のネズミが本物かどうかを鑑定するにあたってどんな方法があるのだろうか?
その方法はいくつか考えられる。しかし、とても待ってられないので、超原始的な方法で独自に調査してみることにした。
と、この記事を書いていた最中にちょうど、日刊スポーツの記者さんから質問が来たのでお答えした。
その記事が → バンクシー作品、真作認定されるには3通りの方法
(日刊スポーツのサイトへ飛びます)
待ってられないので本物かどうか独自に調査開始!
何か手がかりになるものはないかとまずは、Banksy(バンクシー)のサイトを訪問。左上にある「OUTSIDE」から次々に画像を見ていくと、今回問題になっているラットとよく似た画像が出てきた。
バンクシーの公式サイトにも掲載されている写真がこちら。

まずは、比べてみよう。
東京都が保管している防潮扉に描かれているラットがこちら↓

ネズミの向きを揃えてみた写真↓

Banksy(バンクシー)のサイトで掲載されているネズミ(左側)と風雨にさらされて劣化した東京都の防潮扉のネズミ(右側)。
単純に見比べてみても、ボルトの位置、ネズミの下にある線の幅が一致している。ネズミの尾の微妙な角度... スプレー(インク)のつき具合... 線から少し出ている感じ...。
そして、二つを重ねてみた結果↓

重なった!!! それも、ピッタリ。
傘の位置にあわせて重ねてみたら、ボルトの位置や間隔までピッタリ合ってる!!
何で?? すごい偶然??
正直、今驚いている!!
しかも、Banksy (バンクシー) のサイトで紹介されているネズミには、一見するとボルトが写っていないように見えるが、↓の写真を見て欲しい。

画像に編集を加えたところ、ネズミの足部分、黒いスプレーに塗りつぶされて隠れていただけでボルトらしきものがあることが確認できた。
さらに、もう一度。
小池都知事のツイートにある写真とヤフーの知恵袋に掲載されている写真を見比べてほしい。

Banksyのサイトに紹介されている写真と東京のネズミの画像を重ね合わせると、ボルトの位置が一致したことにも興奮したが、写真に写っている古びたコンクリの道路から察するに、同じ場所で撮影したものではないかと思えてならない。
ただ今、バンクシーに問い合わせ中
十中八九、返信は来ないと思う。しかし、一応この作品が本物かどうか、バンクシーとペストコントロール両方に問い合わせている。
果たしてこの作品は、バンクシーが残していった作品なのだろうか?
答えはバンクシーの次の行動を待つしかない。
今、ニュースをチェックしてみると日本だけでなく、世界中でニュースになってるみたいだ。これだけの反応があったら、バンクシーは次の対策を考えているかもしれないし、スルーされるかも知れない。
僕たちを振り回してくれる。
そこがまた、バンクシーの魅力でもある。
P,S,
ちなみに、ペストコントロールのCOAが付属したネズミ「Love Rat」はこれ。