投稿日: 2019-01-21 / 最終更新日: 2019-01-21
1月17日の昼、小池百合子都知事は、バンクシーがボムしたかも知れないとされるアンブレラ・ラット(=ネズミ)と一緒に映った写真をツイートした。と、同時に「遂にバンクシーが日本にも作品を残したのではないか?」というニュースが日本中を駆け巡った。
実際のツイートがこちら
東京都知事のツイートを受けて、いろんな人たちがこの話題に参戦している。ネズミ(=Rat)が持つ傘が福島の原発から降り注ぐ雨をかわしているんじゃないか?とか。
目の付け所が流石だな、と思ったが、もし、これがバンクシーが残していった本物だとしても、2010年に公開されたバンクシーの初映画監督フィルム「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」や本にこの写真と酷似したネズミがすでに登場していることから、特に福島の原発問題や東京オリンピックと結びつける必要もないだろう。
初めはバンクシーが残していったものではないと考えた。
これまで Banksy(バンクシー)が人の関心を引く手段としてストリートに放ってきたメッセージの内容を考えると、このネズミは本物でないと思った。
Banksy(バンクシー)が作品に込めるメッセージは、人間の根源的問題を深く考えさせられるものばかりだ。
こんな場所に残して行って何の意味がある?
風雨にさらされてスプレーが薄くなったとはいえ、クオリティが低すぎないか?
むしろ、小池百合子都知事はバンクシーの話題をツイートすることで、世界の注目を東京に集めようとしただけではないだろうか?
直感やインスピレーションではなく、頭で理論的に考えた末、そう思った。
東京都の対応
都は本物かどうか、調査に乗り出したらしい。新聞の一部記事には「専門家たちが調査に乗り出す考え」とあり、現在はステンシルされた防潮扉を倉庫で保管しているようだ。
このネズミが本物かどうかを知りたければ、直接、ペストコントロールへ連絡を取ればすぐに返事は返ってくるだろう…と思いがちだがそうもいかない。
なぜなら、ペストコントロールのサイトには「ペストコントロールは合法的なアート作品のみを取り扱い、いかなる違法行為にも関与しない。」とあるからだ。
今話題になっている東京のネズミは東京都の防潮扉にステンシルされたものであるから、何か特別なことが起こらない限り、ペストコントロールからCOAが発行される可能性は少ないだろう。というか、ないだろう。
では、
今回のネズミが本物かどうかを鑑定するにあたってどんな方法があるのだろうか?
その方法はいくつか考えられるが、とても待ってられないので、超原始的な方法で独自に調査してみることにした。
と、この記事を書いていた最中にちょうど、日刊スポーツの記者さんから質問が来たのでお答えした。
その記事が → バンクシー作品、真作認定されるには3通りの方法
(日刊スポーツのサイトへ飛びます)
待ってられないので本物かどうか独自に調査開始!
何か手がかりになるものはないかとまずは、Banksy(バンクシー)のサイトを訪問。左上にある「OUTSIDE」から次々に画像を見ていくと、今回問題になっているラットとよく似た画像が出てきた。
Banksy(バンクシー)の公式サイトにも掲載されている写真がこちら↓

比べてみよう。
東京都が保管している防潮扉に描かれているラットがこちら↓

ネズミの向きを揃えてみた写真↓

Banksy(バンクシー)のサイトで掲載されているネズミ(左側)と風雨にさらされて劣化した東京都の防潮扉のネズミ(右側)。
単純に見比べてみても、ボルトの位置、ネズミの下にある線の幅が一致している。ネズミの尾の微妙な角度、スプレー(インク)のつき具合、線から少し出ている感じ…。
そして、二つを重ねてみた結果↓

重なった!!! それも、ピッタリ。
傘の位置にあわせて重ねてみたら、ボルトの位置や間隔までピッタリ合ってる!!
何で?? すごい偶然??
正直、今驚いている!!
しかも、Banksy (バンクシー) のサイトで紹介されているネズミには、一見するとボルトが写っていないように見えるが、↓の写真を見て欲しい。

画像に編集を加えたところ、ネズミの足部分、黒いスプレーに塗りつぶされて隠れていただけでボルトらしきものがあることが確認できた。
さらに、もう一度、
小池都知事のツイートにある写真とヤフーの知恵袋に掲載されている写真を見比べてほしい。

Banksyのサイトに紹介されている写真と東京のネズミの画像を重ね合わせると、ボルトの位置が一致したことにも興奮したが、写真に写っている古びたコンクリの道路から察するに、同じ場所で撮影したものではないかと思えてならない。
ただ今、バンクシーに問い合わせ中
十中八九、返信は来ないと思うが、一応この作品が本物かどうか、バンクシーとペストコントロール両方に問い合わせている。
果たしてこの作品は、バンクシーが残していった作品なのだろうか?
答えはバンクシーの次の行動を待つしかない。
今、ニュースをチェックしてみると日本だけでなく、世界中でニュースになってるみたいだ。これだけの反応があったら、バンクシーは次の対策を考えているかもしれないし、スルーされるかも知れない。
僕たちを振り回してくれる。
そこがまた、バンクシーの魅力でもある。
P,S,
ちなみに、ペストコントロールのCOAが付属したネズミ「Gangsta Rat 」はこれ
こんにちは。毛利嘉孝さんのツイートでも
>
今回見つかったバンクシーが本物かどうかに話題が集中しているのは残念。最終的には証明するのは難しいと思う。とはいえ、私が本物じゃないかという理由はいくつかあります。
バンクシーの活動を彼に関する本やブログやもろもろの情報から集めたBankysy unofficialというサイトがありますが、その中の2000~2003年の海外の初期のストリートアートというページで、この間に東京に行ったとある。
とありますし、
これだけでなく他にもあったけどなくなったっぽいですね。
https://twitter.com/discshopzero/status/1085878057024376832
本物であろうがなかろうが、落書きは落書き。
当然消すべき。
AかBしかないのでしょうか? つまり,よいか悪いかの二択。
おおらかな気持ちが希薄になった,世知辛い世の中だと思う。
これで夢を感じる人がいるのなら,それはそれで楽しめばいいでしょ。
いつぞや話題になった,アスファルトに生えた,ど根性大根・・・,
通行に邪魔だからとか,道路に異物が付いているとか言って,あなたは蹴飛ばす?
なんか、もう本当にくっだらねえよなぁ……
本物なのか本物じゃないのかーって
じゃあこれが検証してバンクシーを真似て誰かが描いたものだってわかったら価値が無くなるの?アホみたい
検証しないとわからない時点でもう関係無いじゃん、その絵自体にはなんの価値も見出してないと言ってるに等しい、単にバンクシーという名前がもたらす金銭的価値しか見ていない
あまりにもくだらん
俺から見れば単に傘持ったリスの絵で、くれると言われても要らんけど。問題はそれを称賛してる連中が、バンクシーか否かってことしか重視していないこと
本当に気持ち悪い。何が贈り物だよ、まさに日本の恥やね
わかるけど、、。
ずっとそんなこと言ってたらたのしくないですよ。。
バンクシーなら美術作品、他の人なら犯罪。東京人はすごい法律で生活しているのですね。
今更ですが記事を興味深く拝見しました。
筆者さんご指摘のコンクリ道路の起伏や、扉の隙間なども反転して一致するか確認してみてはいかがでしょうか。
もしかしたら、当時、冊子掲載の添付写真の方が左右反転して印刷してしまったものかもしれません。
どうもコメントありがとうございます。
そうですね、東京都がこの作品を撤去する前に行けばよかったのですが、行けませんでした…
記事でも書いたように、いくら僕らが検証して本物だと証明しようが、バンクシー自身(Pest Control)が本物だと認めない限り、公的に認められたことにはなりませんし、
基本的にバンクシー(Pest Control)は、ストリートの作品に対しては、自分が書いたものと証明することはありません。(バンクシーの公式インスタグラムに出ているものは、間接的に認めた形にはなりますが…)
当方、西日本をベースに活動しておりますが、今年東京に行く機会があるので、
その時に、チャンスがあれば、実際に、東京のネズミがあった場所に足を運んでみたいと思います。
都が管理している、ネズミも見れれば、見て見たいと思います。
色々と、ご指摘、ご提案ありがとうございます。
P.S.つかさんが、実際に、この作品があった元の場所を観に行かれたのであれば、何か詳しい情報をシェアして頂けるとありがたいです。
自宅の近くだったのでずっと気になっていたのですが、今日ちょうど前を通ることができたし天気も良かったのでやっと現地で現在の写真を撮ることができました。
そして色々気になってしまい、このサイトに辿り着きました。
筆者さんの検証面白いです。
ちなみに撮影した画像見ると、下のコンクリートの起伏が、ヤフー知恵袋の画像と同じように見えました。
写真どこかにお送りしましょうか?
ももさんコメントありがとうございます。
そうですね、何か気付くこともあるかもしれないので、写真お送り頂けるとありがたいです。
info☆theartofbanksy.jp(☆の部分にアットマークを入れて下さい)
↑上のメールアドレスにお送り頂けるとありがたいです。
よろしくお願いします。