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バンクシー黒人差別への抗議デモを支持、最新作で米国の闇を暴く?

2020-06-08

2020年5月25日のアメリカ・ミネアポリス、 「息ができない」と悲鳴をあげていたが、白人警察官「デレック・チョーヴィン」に膝で首を9分近く押さえつけられた黒人男性「ジョージ・フロイド」が死亡する事件がおきた。

その一部始終を収めた動画がソーシャルメディアで拡散されたことで、全米のみならず、イギリスやフランス、大阪にまで黒人差別への抗議デモが拡がり、一部の都市では暴動や略奪行為にまで発展している。

この一連の事件を受けて、Banksy (バンクシー)は6月6日、自身の公式インスタグラムに最新作を投稿した。

https://www.instagram.com/p/CBFyA8iM15Y/

今回の最新作には、黒い影の遺影、その遺影の隣に供えられた花束、遺影の上にはアメリカの星条旗とその星条旗を燃やす火の付いたロウソクが描かれれいる。

まず、この下のコメントを見る前に、作品だけを観て、この作品がどんなメッセージを投げかけているのか、少しの間考えてもらえると、バンクシーも喜ぶだろう。

いつもはコメント欄にちょこっと自分の考えや意見を添えることが多いが、今回は投稿画像の3枚目に、自身のコメントをガッツリ載せている。

バンクシー最新投稿、3枚目の画像

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バンクシーのコメントというか意見を順番に訳していくとこんなかんじだろうか。

“At first I thought I should just shut up and listen to black people about this issue. But why would I do that? It’s not their problem. It’s mine.”

最初は、この問題に対する黒人の意見に、黙って耳を傾けるべきだと思っていた。でも、なぜそうしなければならないのだろう?これは彼らの問題ではない。僕の問題である。

次に、バンクシーはこう続ける

“People of colour are being failed by the system. The white system. 

有色人種はこの制度のせいで失敗し続けている。そう、この白人の制度のせいで。

“Like a broken pipe flooding the apartment of the people living downstairs. This faulty system is making their life a misery, but it’s not their job to fix it. They can’t – no-one will let them in the apartment upstairs.”

これはまるで、下層階の住む人々の住宅を水浸しにする壊れた水道管のようだ。

この欠陥だらけの制度が有色人種の人生をみじめなものにしている。これは彼らが解決する問題ではないし、彼らは解決することもできない。誰も彼らを住宅の上層階には入れようとしないからだ。

最後にバンクシーはこう締めくくっている。

This is a white problem and if white problem don’t fix it, someone will have to come upstairs and kick the door in.

これは白人の問題だ。白人が解決しなければ、誰かだ上層階に上がっていき、ドアを蹴り破って上層階に入って行かないといけない。

バンクシーが米国の闇を暴く?それとも世界の未来の暗示?

もう一度、作品に焦点を戻そう。

黒い影の遺影、火の付いたロウソクとロウソクの火で燃え始めるアメリカの星条旗。

この作品は何を暗示しているのだろうか。そして、バンクシーは何を知っていて、何を伝えようとしているのだろうか?

シンプルに解釈すれば、黒い影の遺影は、今回の黒人差別への抗議運動の引き金となった黒人男性「ジョージ・フロイド」さんのことを表していて、彼の死によって燃え始めた火で、白人が作った制度を壊し(燃やし)始めている。と伝えているのかもしれない。

もしくは、もっと違った見方をすれば、実は、アメリカを自ら燃やし続けているのは、影の黒幕で、今回の騒動をきっかけに、その存在に気付いてみんなにもっと行動して欲しいというメッセージなのかもしれない。

通常、デモは警察の許可を得て行うものだが、世界はまだまだコロナ禍でソーシャル・ディスタンスや外出自粛が必要とされるはずだ。しかし、なぜ、この時期にデモが許されるのか?なぜ、世界中にデモが拡がるのか?疑問に思う人も多いはずだ。

ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)が求められる今の状況で、なぜ3密になるデモが容認されるのか?そして、今後どんなことが起こるのか? バンクシーはこの作品を観る人全てに、今起こっている現象に疑問を持ち、世の中の事象に対して常に考える癖を付けて欲しいのかもしれない。

ちなみに、バンクシーの出身地とされる、英国ブリストルでも、6月7日に抗議デモが行われた。

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