2024年8月5日、バンクシーは自身の公式インスタグラムにヤギの新作を公開しました。それから、9日連続でロンドン各地の街に動物の作品を残しました。
ヤギ→ゾウ→サル→オオカミ→ペリカン→ネコ→ピラニア→サイ→ゴリラ 作品と続きファンの間ではこれらを「ロンドン動物園シリーズ」と呼ぶ人もいます。
バンクシーはどの作品にもタイトルや解説は載せていません。観る人に自分で作品の意味を考えて欲しいのでしょう。
なぜ、バンクシーはロンドン中に動物の作品を残したのか?
2024年8月5日から始まったバンクシー「ロンドン動物園シリーズ」の作品を順番に見ていきましょう。
それでは、最初の作品からどうぞ。
1日目 崖の上のヤギ
まず、1日目の8月5日に登場したのがこちらの作品です。
描かれたのは崖の上に立つヤギのシルエット。ヤギの右下の監視カメラはなぜかヤギの方を向いています。また、足元から石が下に転げ落ち、ヤギが追い詰められた様子が表現されています。
ソーラーパネルや都市開発で進む森林破壊。住む場所まで奪った上に、監視カメラで監視までする人間に警鐘を鳴らしているのかもしれません。
もしくは、パレスチナを代表する動物、マウンテンガゼルを描いていて、イスラエルとの戦争で揺れるパレスチナを表現しているのでしょうか。
2日目 2頭の象
2日目の作品は2頭のゾウのシルエットです。塞がれた窓の奥の部屋から鼻を出し、会話する2頭のゾウ。英語には「Elephant in the room」と言うことわざがあります。直訳すると「象が部屋にいる」ですが、実際の意味は「(象のような)巨大な問題を見て見ぬふりする」という意味です。
現在、英国全土で移民や難民の排斥運動が起こっています。が、そのことに言及しているんでしょうか?ちなみに、作品が残された場所は英国随一の富裕層の街の「チェルシー」です。
3日目3匹のサル
3日目の新作は3匹のサルです。作品が残されたのは、イーストロンドンの若者の街「ブリックレーン」です。
鉄道の高架橋の壁面に描かれた3匹のサルは自由気ままに動き回っています。難民排斥を訴える暴動が英国中で起こっていますが、難民側もイギリス人側も含め自由気ままに振舞う人々のことを表してるのかも知れません。
4日目 空に向かって吠えるオオカミ(犬?)
4日目は冒頭でも紹介した空に向かって吠えるオオカミの作品です。オオカミ(野犬?)は、衛星アンテナの丸い皿の上に描かれています。
作品が残された場所はロンドンでも危険で有名な「ペッカム」というエリア。バンクシーは深夜に吠えるオオカミとお昼間に吠えるオオカミの2枚の画像を投稿しています。
しかし、この作品は顔を隠した3人の若者に盗まれてしまいました。
実際に犯行に及んだ際の動画がこちらです。
今の所、3人組は逮捕されていないようです。そして、盗まれた作品がどうなったかも現在は不明。
5日目 魚を加えるペリカン
そして、5日目は魚をくわえるペリカンのシルエットです。今回、バンクシーが作品を残したのはロンドン北東部の「ウォルサムストー」という街。「BONNERS FISH BAR」というフィッシュ・アンド・チップスのお店の看板の上に2羽のペリカンが魚を食べる様子が描かれています。
ちなみに、このお店の店主は当日の朝になって初めて作品に気付いたそうです。
6日目 伸びをするネコ
6日目に登場したのは伸びをするネコ。伸びをするネコのシルエットは放棄されたビルボードの上に描かれました。作品が残された場所はロンドン北西部の「クリックルウッド」というエリアです。
前足を伸ばし、肩を曲げお尻と尻尾を宙に上げる姿のネコはどんなメッセージを伝えようとしてるのでしょうか?
ちなみにこのビルボードは週明けには新しい広告が貼り付けられる予定だったようで、作品は既に業者によって撤去されてしまいました。
7日目 ピラニアの群れ
そして、7日目は魚の群れの作品です。魚はおそらくピラニアでしょう。今回は黒のシルエットではなく、半透明のスプレーペイントを使い詳細に描いています。バンクシーが作品を残したのはロンドン中心部の「ラドゲイト・ヒル」というエリアです。「ラドゲイト・ヒル」はセントポール大聖堂のあることで有名。
また、作品はポリスボックス(昔のミニ交番)窓の部分に描かれ、警官がスマホで作品を撮影している姿が印象的です。
作品ではピラニアの群れが街中で泳いでいます。その作品の隣に黄色いの看板があり... If you can see this, we can see you=あなたがこれを見ることができるなら、私達もあなたのことが見えています。と書いています。
看板の言葉が作品と相まって、何かメッセージを伝えるかのようです。
8日目 廃車に乗っかるサイの作品
次に8日目のバンクシーの新作はサイの作品です。バンクシーのロンドン動物シリーズ作品も2周目に突入!今回作品が残されたのは、ロンドン南東部のチャールトンという街で、サッカークラブの本拠地やグリニッジ天文台の近くとして、有名な街です。
作品に描かれたのは、ボロボロの車とその車にマウンティングするサイ。尻尾が立った絶滅危惧種のサイは、廃車に乗っからないいけないぐらい人間が動物を追い詰めている。野生動物への問題に警鐘を鳴らしてるのでしょうか?
残念ながら、作品は登場からすぐに誰かに落書きされてしまいました。
9日目は動物を逃がすゴリラ
そして、9日目は動物達を逃がすゴリラの作品。今回作品が残されたのは、ロンドン北東部「リージェントパーク」内にあるロンドン動物園のシャッターの上です。
アザラシや鳥達を動物園のシャッターをこじ開けて逃すゴリラ...シャッターの奥から見えるネコ科の目も特徴的です。ちなみに、8月5日から始まり、今日で9日目の作品はロンドン動物園シリーズの総括的な作品にも見えますが、今後まだ続いていくのでしょうか?
今後、ロンドン動物園シリーズはどうなっていくのか?
2013年10月の1ヶ月間、バンクシーはNYCで毎日1作品を残すという、壮大なパフォーマンス「バンクシー・ダズ・ニューヨーク」をやってのけましたが、今回も2013年のようなパフォーマンスになるのでしょうか?
ロンドン動物園シリーズはまだまだ続く可能性が高いと思います。今日以降も新しいロンドン動物園シリーズ作品が登場したら、こちらのページで紹介していきます。