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バンクシー オークション落札額 ランキング TOP10 Banksyの過去最高落札額は?

2023-05-23

2020年3月号で月刊雑誌「Casa BRUTUS」がバンクシーを特集しました。

ちなみ、日本の有名雑誌が、大々的かつ詳細にバンクシーを取り上げたのはこれが初めてでした。

そして、この特集で「バンクシーの作品落札額ベスト5」という内容が取り上げられました。しかし、これは2020年1月までに編集されたものです。なので、既にこのベスト5が5回以上も入れ替わっています。

なので、ここでは、最新版(2024年4月時点)のTOP10をこの記事で紹介します。

*頻繁に、このランキングは入れ替わります。なので、新しい作品がランクインすれば、またこの記事をアップデートします。なので、定期的にチェックして下さい。(現在11回目のアップデートが終了。)

1位 Love is in the Bin 29億円

  • サイズ : 縦 101cm x 横 78cm x 奥行き18cm。
  • 制作年:2006年, 2018年
  • 技法:アクリル絵具、スプレーペイント
  • サイン : あり
  • エディション: 1/1 Original on Canvas
  • Pest ControlのCOA付き

バンクシー作品の落札額ランキングの第1位は2021年10月14日にサザビーズ・ロンドンのオークションに出品された「Love is in the Bin」です。

予想落札額が400万ポンド~600万ポンド(約6億円~9億円)。そして、結果はその3倍を軽く越える約29億円で落札。

バンクシー最高額作品の誕生秘話

バンクシー好きの方には作品ついての説明は必要ないかもしれません。が、「えっそんな作品まだ知らない」という方のために、簡単に説明させて下さい。

2018年10月にサザビーズ・ロンドンが開催。このオークションでバンクシーのオリジナル作品「Girl with Balloon」が出品。

作品が約1.5億円で落札された直後、額装に内蔵されたシュレッダーが作動。そして、作品がビリビリに細断され、およそ半分の所でとまりました。こうして生まれたのがこの「Love is in the Bin」です。

この作品はおそらく美術史上、最も衝撃的に誕生した作品かもしれません。

「Love is in the Bin」について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメ→えっ!まじで? Banksy「Girl with Balloon」1億5千万円で落札直後、シュレッダーに??

2位 Game Changer 25億円

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  • タイトル: Game Changer (ゲームチェンジャー)
  • 制作年: 2020年
  • サイズ:91cm x 91cm 
  • 技法: 油彩 on キャンバス
  • サイン:あり(作品の右下)
  • Pest ControlのCOA付き

2021年3月23日、キャンバス作品「Game Changer」がクリスティーズ・ロンドンのオークションに出品。

予想落札額が約3億7500万円~5億2500万円(250万ポンド~350万ポンド)でした。しかし、予想落札額の5倍以上の約25億円(16億7580万ポンド)で落札。

この「Game Changer」はバンクシーの歴代高額落札額ベスト2にランクインしています。

この作品の収益は全て作品が寄付されたサウサンプトン総合病院とイギリスの国民健康保険(NHS)の関連団体に寄付されました。

「ゲームチャンジャー」について、もっと詳しく知りたい方はこちら→バンクシー コロナ禍のナースを描いた作品 「ゲームチェンジャー」が約25億円で落札。

3位 Sunflowers from Petrol Station 16億円

  • タイトル: Sunflowers from Petrol Station 
  • 制作年: 2005年
  • サイズ:102.6cm x 87.5cm 
  • 技法: 油彩 on キャンバス
  • サイン:あり(作品の右下)
  • Pest ControlのCOA付き

次に、第3位はゴッホのオマージュ作品「Sunflowers from Petrol Station」です。2021年11月9日にクリスティーズ・ニューヨークで開催のオークションに出品。そして、この作品はゴッホの代表作「ひまわり」をオマージュしたもの。しかも、出品者は英国のファッションデザイナー「ポール・スミス」氏でした。

予想落札額が約13億円~20億円の所(1200万ドル〜1800万ドル) 約16億円(1445万8000ドル)で落札。

これは2005年にロンドン・ノッティングヒルで開催されたエキシビション「Crude Oils」で展示された作品です。

ちなみに「Crude Oils」について詳しくは、こちらの記事がオススメ→200匹の生きたネズミを展示したバンクシー・エキシビション「Crude Oils」2005。

4位 Devolved Parliament 13億円 - 1218万1424ドル

  • 制作年: 2009年
  • サイズ:276cm x 446cm (額装時)
  • 技法:オイル on キャンバス
  • サイン:あり
  • Pest ControlのCOA付き

次に、4位はサルの議会こと「Devolved Parliament」がランクイン。2019年10月サザビーズのオークションで当時過去最高額の約13億円(£9,879,500)で落札。

この作品は2009年ブリストル美術館で開催されたエキシビション「Banksy vs Bristol Museum」で初めて展示されました。

*「Banksy vs Bristol Museum」で展示された作品と、オークションに出品された作品の細部が実は違う。おそらく別に製作した作品です。しかし、今回はそのことについては触れないでおきます。

なぜ、サルの議会はここまで価格が上がったのか?

カーサブルータスの記事は、この作品が桁違いの約13億円で落札された理由について、こう書いていました。

ブレクジット(英国のEU離脱)で議会がもめていた2019年3月末、ブリストル・ミュージアムが2009年のバンクシー展の10周年を記念して作品を展示した際、「凋落した英国議会の今を予言した作品」として各方面から取り上げられたから。

しかし、ずっとバンクシー作品の市場を観察している僕にとって、少し違うように見えます。

もちろん、2009年に描いた過去最大サイズの作品が「10年後のブレクジットの混迷」を予言していたら、作品価値が上がるのは間違いありません。

しかし、それだけで、2019年頃まで2億円に少し届かないくらいのが過去最高額だったのが、いきなり10億円越えで桁違いの価値が付くほど、アートの世界は甘くありません。

では、なぜ、この作品が初めて10億円の大台を越え落札されたのか。

2018年10月、英サザビーズ・オークションが開催。ここでバンクシーの代表作「Girl with Balloon」が落札直後、額縁に内蔵されたシュレッダーでビリビリに細断された事件は世界中に衝撃を与えました。

この事件は、それまでバンクシー作品に興味がなかったピカソやダリなど超高額作品を購入する現代アートコレクター達にとってかなりの衝撃だったでしょう。

この事件以降、現代アートコレクター達がバンクシーに本格的に目を付け始めた。さらに、2018年10月以降、高額作品を中心に集める現代アートコレクターや組織としてバンクシー作品を集める企業が参入することで、バンクシー作品に大量のマネーが流れ込んできました。

これが「Devolved Parliament」が10億円の大台を越える初めての作品になった大きな理由でしょう。

5位 Love is in the Air 14億円 - 1209万3000ドル

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  • タイトル: Love is in the Air。
  • 制作年: 2006年。
  • サイズ:90cm x 90cm 
  • 技法: 油彩、スプレーペイントon キャンバス.
  • サイン:あり
  • Pest Control発行によるCOA付き

2021年5月12日、サザビーズ・ニューヨーク開催のオークションにオリジナルキャンバス作品「Love is in the Air」が出品。

予想落札額が300万ドル〜500万ドル。日本円にして3億3000万円〜5億5000万円でした。結果は予想をはるかに越える1209万3000ドル、日本円で約14億円で落札!

ちなみに日本円では、14億円で落札された5位の「Love is in the Air」が4位の「Devolved Parliament」の13億円より高いが、米ドルで比べると4位の「Devolved Parliament」が1218万1424ドル、5位の「Love is in the Air」が1209万3000ドルなので、こちらの「Love is in the Air」をベスト5位にしている。

4位「Devolved Parliament=1218万1424ドル」→5位「Love is in the Air=1209万3000ドル」。

歴史上初、仮想通貨での支払いが可能に

サザビーズ・ニューヨークは仮想通貨取引所「COINBASE」と連携。大手オークションハウスとしては歴史上初の試みで、バンクシーの「Love is in the Air」の落札時にビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨での支払いを認めました。

バンクシーの「Love is in the Air」が実物のアート作品落札の決済に仮想通貨での支払いを認めた歴史上初の作品となりました。

6位 Banksquiat. Boy and Dog in Stop and Search 13.1億円

  • タイトル: Banksquiat. Boy and Dog in Stop and Search
  • 制作年: 2018年
  • サイズ: 縦243.8cm x 横344.5cm (額装時)
  • 技法:アクリル絵具、ワックスマーカー
  • Pest ControlのCOA付き
  • サイン: 直筆サイン入り

2023517日、フィリップス・ニューヨークでオークションが開催。バンクシーの作品「Banksquiat. Boy and Dog in Stop and Serch」が出品。

予想落札価格が800万ドル〜1200万ドルの所、9724500ドルで落札。日本円にすると、約131000万円。

これはバスキアの作品「Boy and Dog in a Johnnypump」をオマージュした作品です。

7位 Show Me the Monet 10億円

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  • タイトル: Show Me the Monet
  • 制作年: 2005年
  • サイズ: 縦143.1cm x 横143.4cm (額装時)
  • 技法:油彩
  • Pest ControlのCOA付き

2020年10月21日にサザビーズに出品。予想落札額300万〜500万ポンドに対して755万1600ポンド。日本円にして10億円越えの高額で落札されました。

こちらの作品はクロード・モネの代表作「睡蓮」をオマージュしたものです。そして、モネの日本の橋がある庭園にトラフィックコーンやショッピングカートが不法投棄されているシーンを描いています。

8位 Love is in the Air 9.2億円

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  • タイトル: Love is in the Air
  • 制作年: 2006年
  • サイズ: 縦90cm x 横90cm
  • 技法:油彩、スプレーペイント on キャンバsy
  • サイン:あり
  • エディション: 13/15
  • Pest ControlのCOA付き

2021年11月18日、サザビーズ・ニューヨークに出品された「Love is in the Air」は予想落札額400万ドル~600万ドル(4.6億~6.8億円)の所、807万7200ドル、日本円にすると、約9.2億円で落札。

ちなみにこの「Love is in the Air」は国内2つ目の大型バンクシー展「バンクシーって誰?展」にも展示されていた作品です。

このバージョンの「Love is in the Air」はED15。つまり、限定15枚ある中の1枚の作品です。しかし、もしこの「Love is in the Air」が世界に一枚しかない1/1のバージョンであれば、さらに高額で落札されていたでしょう。

9位 Forgive Us Our Trespassing 8.96億円

  • タイトル: Forgive Us Our Trespassing
  • 制作年: 2011年
  • サイズ: 縦655cm x 横421cm
  • 技法:スプレーペイント、マーカー on ウッドパネル
  • サイン:あり
  • Pest ControlのCOA付き

2020年10月6日に香港で開催されたサザビーズ・イブニングセールに出品された「Forgive Us Our Trespassing」は、予想落札価格が£1,600,000〜£3,200,000(約2.24億円〜4.48億円)のところ、£6,400,000(約8億9600万円)で落札。

同じタイトルで製作されたバージョンがいくつかあるが、こちらは2011年に「子供にアート作品の創作にもっと積極的に取り組んでもらうための」プロジェクトで、ロサンゼルスの学校の100名以上の生徒と一緒に作り上げた作品です。

10位 Love is in the Air 8.5 億円

花束を投げる暴徒
  • タイトル: Love is in the Air
  • 制作年: 2006年
  • サイズ: 縦91.4cm x 横91.4cm
  • 技法:油彩、スプレーペイント on キャンバス
  • サイン:あり
  • エディション: 5/15
  • Pest ControlのCOA付き

2022年でトップ10にランクインしたのはこの作品のみ。そして、今回9位にランクインしたのは「Love is in the Air」です。

この作品は2022年4月、香港サザビーズに出品。予想落札額が4千万〜6千万香港ドルでした。しかし、結果は、5107万3000香港ドルで落札。日本円にすると、約8.5億円です。

今回「Love is in the Air」が9位にランクイン。その結果、10作品中3点が「Love is in the Air」になりました。「Love is in the Air」の圧倒的な人気が証明されました。ちなみに、5位の「Love is in the Air」とこちらは少しサイズが違います。

ここからは番外編....

11位 Trolley Hunters 7.6 億円

  • 制作年: 2006年
  • サイズ:137cm x 214cm
  • 技法:オイル& エマルジョン on キャンバス
  • サイン:あり
  • Pest ControlのCOA付き

10位の「Love is in the Air」と同じ2021年11月18日に開催されたサザビーズ・ニューヨークに出品されたこの作品は予想落札額が500万ドル~700万ドルのところ、669万8400ドルで落札。日本円にすると、約7.6億円でした。

世界に1枚しかないオリジナル作品... 縦1.37メートル x 横2.14メートルもある巨大な作品... 2006年、LAでゲリラ的に開催されたエキシビション「Barely Legal」に展示された作品ということもあり、ここまで高額で落札されたのでしょう。

12位 Subject to Availability 7億円

  • 制作年: 2009-2010年
  • サイズ:159.5cm x 220.3cm
  • 技法:オイル on キャンバス
  • サイン:あり
  • Pest ControlのCOA付き

2021年6月30日開催のクリスティーズ・ロンドンに出品。

予想落札額300万ポンド~500万ポンド。日本円にして4.5億円~7.5億円のところ。最終的に458万2500ポンドで落札。日本円にすると約7億円です。

こちらの作品は1890年にドイツ系アメリカ人画家「アルバート・ビアシュタット」がワシントン州にある標高4392メートルのレーニア山を描いた絵の上にバンクシーがコラージュした作品です。

「Subject to Availability」は2009年に制作。2009年にバンクシーの故郷ブリストルで開催されたエキシビション「Banksy vs Bristol Museum」に展示されました。

  • タイトル: Original Concept for Barely Legal Poster (after Demi Moore) 
  • 制作年: 2006年
  • サイズ: 縦213cm x 横137.5cm
  • 技法:スプレーペイント、エマルジョン on キャンバス
  • サイン: 
  • エディション: 1/1
  • Pest ControlのCOA付き

この作品は2021年3月25日に開催されたサザビーズ・ロンドンのオークションに出品。

予想落札価格は200万ポンド~300万ポンド。最終的に、日本円で267万7000ポンド約4億円で落札。

デミ・ムーアの妊婦のセミヌード写真へのオマージュ

この作品はアメリカの月刊誌ヴァニティ・フェアの1991年8月号の表紙を飾った、伝説的な写真家アニー・リーボヴィッツの撮影によるあまりにも有名なデミ・ムーアの妊婦のセミヌード写真をベースにした作品です。

デミ・ムーアのセミヌード。そして、デミ・ムーアの顔が目がぎょろっと出たおサルに変わり。長い髪のカツラをかぶっています。

タバコを口にくわえているポーズ以外は手ブラや、中指にはめた指輪などはデミ・ムーアのオリジナルと変わりません。

直近6年のバンクシーに関する主な事件やニュース....

  • 2018年10月、英サザビーズで約1.5億円の作品が落札直後にビリビリに裁断...
  • 2019年小池都知事のツイートで「バンクシー東京のネズミ」が日本中で話題に...
  • 2020年3月号のカーサ ブルータスでバンクシー の特集記事が大々的に組まれる。
  • 2020年3月15日から横浜アソビルで日本初大型バンクシー展「バンクシー展 天才か反逆者か」が開催。
  • 2021年3月、サウサンプトン総合病院に寄付した作品「Game Changer」が、過去最高額の約25億円で落札。
  • 2021年8月、国内2つ目の大型バンクシー展「バンクシーって誰?」展が東京で開催。
  • 2021年10月、落札直後シュレッダーでビリビリに破れた作品「Love is in the Bin」が「Game Changer」の25億円を抜き去り、過去最高額の29億円で落札。
  • 2023年5月、バンクシー「Banksquiat. Boy and Dog in Stop and Search」が約13.1億円で落札。

コロナ禍の巣篭もり需要で世界的にアートバブルが起きました。そして、その影響もあってかバンクシー作品への評価、人気ともに爆伸び。また、日本では日本初大型バンクシー展が横浜→大阪→名古屋→福岡→広島→東京と開催されることにより、日本でのバンクシー人気も爆発。

直近6年の主な出来事だけを見ても、色んなニュースや事件、イベントが目白押しです。

バンクシー作品コレクターの移ろい...

これまで「バンクシー作品を購入したい」という問い合わせは長年のアートコレクターが中心でした。

しかし、ここ数年は、国内の大型バンクシー展開催のおかげで、色んな業種の方や、今まであまりアートに興味が無く最近アートを収集し始めた人まで、問い合わせをする人のバリエーションが一気に増えました。

2020年のコロナ禍で日本でもバンクシー人気が爆発。次に2021年も年末まで価格が情報。しかし、2022年に入って価格が大幅に調整。2023、2024年は調整が続きながらも、いつまた上昇するかも知れません。

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