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バンクシー作品の歴代最高落札額は? Banksy高額作品ランキング ベスト10

月刊雑誌「カーサ ブルータス (Casa BRUTUS)」が2020年3月号でバンクシーについて大々的に特集していた。

日本のメジャーな雑誌が、ここまで大々的かつ詳細にバンクシーに付いて取り上げたのは初めてではないだろうか。

つい先週、四国の田舎のローソンに入った時にこの特集号が置かれていたので、ようやくバンクシーが日本でも市民権を得たと言っても過言ではないだろう。

今回の特集では「バンクシーの作品落札額ベスト5」という内容が取り上げられていた。

これはおそらく今年(2020年)の1月までに編集されたものだと思うが、既にこのベスト5が5回以上も入れ替わってしまっている。

なので、これまでのベスト5と新しくランキングに入った5作品を合わせて、最新版(2020年10月時点)のベスト10をこの記事で紹介しよう。

*これからも頻繁に、このランキングは入れ替わるだろうから、また新しい作品がランク入りすれば、またこの記事をアップデートする。(現在3回目のアップデートが終了)

1:Devolved Parliament 2019

  • 制作年: 2009年.
  • サイズ:276cm x 446cm (額装時).
  • 技法:オイル on キャンバス.
  • サイン:あり
  • Pest ControlのCOA付き.

この作品について、このブログで過去に何度も紹介してきたので、既にご存知の方も多いのではないだろうか。

2019年10月サザビーズのオークションで過去最高額約13億円(£9,879,500)で落札されたサルの議会こと「Devolved Parliament」が、今の所、ぶっちぎりの第1位!

サルの議会こと「Devolved Parliament」は、2009年ブリストル美術館で開催されたエキシビション「Banksy vs Bristol Museum」で初めて展示された作品だ。

*「Banksy vs Bristol Museum」で展示された作品と、オークションに出品された作品の細部が実は違うのだが、今回はそのことについては触れないでおこう。

なぜ、ここまで価格が上がったのか?

カーサの記事では、サルの議会「Devolved Parliament」が桁違いの約13億円で落札された理由を、

ブレクジット(英国のEU離脱)で議会がもめていた2019年3月末、ブリストル・ミュージアムが2009年のバンクシー展の10周年を記念して作品を展示した際、「凋落した英国議会の今を予言した作品」として各方面から取り上げられたから。

と書いているが、ずっとバンクシー作品の市場を観察している僕らにとって、実際は少し違うように見える。

もちろん、2009年に描いた過去最大サイズの作品が「10年後のブレクジットの混迷」を予言していたら、作品価値が上がるのは間違いない。

しかし、それだけで、これまで2億円に少し届かないくらいだった過去最高額が、いきなり10億円越えで桁違いの価値が付くほど、アートの世界は甘くない。

では、なぜ、この作品が桁違いの約13億円の過去最高額で落札されたのだろう。。。

2018年10月、英サザビーズのオークションで、バンクシーの代表作「Girl with Balloon」が落札直後、額縁に内蔵されたシュレッダーでビリビリに細断された事件は世界中に衝撃を与えた。

この事件は、それまでバンクシー作品に興味がなかったピカソやダリなど超高額作品を購入する現代アートコレクター達にとってかなりの衝撃だっただろう。

この事件以来、高額作品を収集する現代アートコレクター達がバンクシーのアート作品に本格的に目を付け始め、2018年10月以降は、高額作品を中心に集める現代アートコレクターや、組織としてバンクシー作品を集める企業の参入とともに、バンクシー作品に大量のマネーが流れ込んできている。

これが「Devolved Parliament」が10億円の大台を越えた1番の理由だと考えるのが妥当だろう。

2: Show Me the Monet 2005

  • タイトル: Show Me the Monet
  • 制作年: 2005年
  • サイズ: 縦143.1cm x 横143.4cm (額装時)
  • 技法:油彩
  • Pest ControlのCOA付き

2020年10月21日にサザビーズ・ロンドンに出品された「Show Me the Monet」は、予想落札額300万〜500万ポンドに対して755万1600ポンド、日本円にして10億円越えの高額で落札された。

こちらの作品はクロード・モネの代表作「睡蓮」をオマージュしたもので、モネの日本の橋がある庭園にトラフィックコーンやショッピングカートが不法投棄されているシーンを描いている。

3: Forgive Us Our Trespassing 2011

  • タイトル: Forgive Us Our Trespassing
  • 制作年: 2011年
  • サイズ: 縦655cm x 横421cm
  • 技法:スプレーペイント、マーカー on ウッドパネル
  • サイン:あり
  • Pest ControlのCOA付き

2020年10月6日に香港で開催されたサザビーズ・イブニングセールに出品された「Forgive Us Our Trespassing」は、予想落札価格が£1,600,000〜£3,200,000(約2.24億円〜4.48億円)のところ、£6,400,000(約8億9600万円)で落札。

これまで、2020年9月まで歴代落札額3位の約3億円で落札された「Mediterranean Sea View 2017」をぶっち切りで抜く、約8億9600万円で落札された。

同じタイトルで製作されたバージョンがいくつかあるが、こちらは2011年に「子供にアート作品の創作にもっと積極的に取り組んでもらうための」プロジェクトで、ロサンゼルスの学校の100名以上の生徒と一緒に作り上げた作品だ。

4: Mediterranean Sea View 2017

  • タイトル: Mediterranean Sea View 2017
  • 制作年: 2017年
  • サイズ: 1: 83cm x 68cm (額装時) – 2:115cm x 84.5cm(額装時) – 3:69.8cm x 59.5cm(額装時)
  • 技法:油彩
  • サイン:あり
  • Pest ControlのCOAあり

「Mediterranean Sea View 2017」は、2020年7月28日のロンドン・サザビーズオークションに出品。

予想落札額が約1.1億円〜1.66億円(£800,000〜£1,200,000)に対して、約3億円(£2,235,000)で落札。なんと、最低予想落札額の約3倍にもなる。

こちらは3枚1組の作品。荒波の海の景色を描いた既存の油絵にバンクシーが救命胴衣や救命用の浮き輪を描き足している。

作品のタイトル「Mediterranean Sea View 2017」は、文字通り、地中海の海の景色のこと。

波打ち際に打ち上げられた救命胴衣や救命用の浮輪は、2015年終わり頃にヨーロッパで顕在化した欧州難民危機で中東から地中海を渡ろうとしたが、無残にもヨーロッパに辿り着けなかった難民を思わせる作品になっている。

パレスチナのホテル「The Walled Off Hotel」のロビーに長く展示していたので、ホテルの来客に、少しでも、欧州難民危機について考えて欲しかったのだろうか、無駄がないシンプルな表現が逆に色々考えさせられる。

5: Monkey Poison 2004

  • 制作年: 2004年.
  • サイズ:61cm x 91.4cm (額装時).
  • 技法:オイル& スプレーペイントon キャンバス.
  • サイン:あり
  • Pest ControlのCOA付き.

2020年7月2日に開催されたオークションに出品された「Monkey Poison」の予想落札額は$1,800,000 – $2,500,000(およそ1.9億~2.6億円)で、実際にオークションが開催されると、200万ドル、日本円にしておよそ2億1400万円で落札。

作品のベースとなるのは19世紀の絵画で、バンクシーがどこかで見つけてきたもの、既に他の誰か描いた作品だ。この絵画には牧歌的な生活の美しさや幸せな生活の理想的な姿が描かれている。

その絵画の上に、バンクシーはガソリン(社会の毒)をがぶ飲みするおサルさんを描き加えている。

解釈は一人一人違うと思うが、大量に車を走らせ、プラスチックの袋やプラスチックボトルを大量に消費する2004年当時の大量消費社会を皮肉っているのだろうか、色んな見方ができる作品だ。

6: Keep it Spotless 2008


  • 制作年: 2007年.
  • サイズ:214cm x 305cm (額装時).
  • 技法:スプレーペイント on キャンバス.
  • サイン:あり

2020年10月のアップデートでベスト4位からランク外のベスト6位にランクダウンしたのは、2007年2月14日のバレンタインデーのオークションに出品され、187万ドル=約1億9000万円で落札された「Keep it Spotless」。

「Keep it Spotless」は言わずも知れた英国を代表する現代アーティスト”ダミアン・ハースト”の代表作「Spot Painting」とのコラボ作品というか、オマージュ作品である。

約13億円で落札された過去最高落札額の「Devolved Parliament」が2019年に記録を破るまでは、11年間ずっとこの作品が落札額のベスト1位だった。

7: Vote to Love 2018

  • 制作年: 2018年.
  • サイズ:117cm x 116.5cm x 8.5cm
  • 技法:スプレーペイント on UKIP プラカード
  • サイン:あり

そして今回、「カーサ ブルータス」で5位だった作品を押さえ、(2020年8月時点で)堂々の5位に食い込んでいたが、2020年10月時点では7位まで下がってしまったのが、こちらの作品「Vote to Love」だ。

こちらの「Vote to Love」は2016年6月23日のブレクジット(英国のEU離脱)を決める国民投票で、英国独立党(UKIP)を支持する時に使われたプラカードにスプレーペイントをした作品だ。

予想落札価格 約6000万〜9000万円(40,000ポンド〜60,000ポンド)が、なんと、約1億6500万円(1,115,000ポンド)で落札!

元々「Vote to Leave」(EU離脱に投票を)のアルファベット「ea→o」に変えて、「Vote to Love」(愛に投票を)に変えている。しかも、Oのハートのバルーンには絆創膏(ばんそうこう)が貼っていることで、作品の解釈が無限に拡がる。

この作品にはちょっとした逸話がある。

バンクシーは2018年、イギリス最古の美術学校「ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ」の サマーエキシビションの一般応募に「Bryan S Gaakman」という偽名を使って、参加。

結果は見事に落選。

しかし、その一ヶ月後、サマーエキシビションのコーディネーター「グレイソン・ペリー」から「何か作品を展示してくれないか?」と依頼があり、同じ作品を送ると、サマーエキシビションに展示されることが決まった。

この「Vote to Love」には権威=イギリス最古の美術学校「ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ」でも、「良い作品、悪い作品の区別なんか付かない」という権威への反抗を訴えているのか、バンクシーの既得権益に対するメッセージなのかも知れない。

カーサーブルータスの特集記事ではベスト5位に入っていたが、3度のアップデートを経て、ベスト5位から外れてしまった作品達を記録のために残して置こうと思う。

8:Girl with Balloon(Love is in the Bin)2018

サイズ : 縦 101cm x 横 78cm x 奥行き18cm
制作年:2006年
技法:アクリル絵具、スプレーペイント
サイン : あり
エディション: 1/1 Original on Canvas

この作品の順位を発表するまでに、既に何度もこの作品について言及してしまったが、8位にランクインしたのは、英サザビーズのオークション落札直後に額縁に内蔵したシュレッダーが作品をズタズタに裁断した「Girl with Ballon」改め、「Love is in the Bin」。

落札金額は104万2000ポンド、日本円にして1億5463万8497円

詳しくは、2018年に書いたこちらの記事で見て頂きたい。えっ!まじで? BANKSY「GIRL WITH BALLOON」1億5千万円で落札直後、シュレッダーに??

9:Simple Intelligence Testing 2008

サイズ : 縦 91.5cm x 横 91.5cm(5枚とも)
制作年:2000年
技法:ステンシルスプレーペイント
サイン : あり
エディション: 1/1 Original on Canvas

そして、ベスト5から外れ。今回9位として、紹介するこちらの作品は、カーサ ブルータスのランキングには載っていない。

7位にランクインしたのは、2008年2月28日に開催された英サザビーズのオークションで落札の「Simple Intelligence Testing」で、落札額は1億3400万7420円

5枚1セットの作品で、金庫の中からバナナを探す知能テストをうけるおサルさんが、金庫を積み上げ、実験室から脱出するというストーリー仕立ての作品になっている。

バンクシー落札額ベスト5を決めるには「どの通貨を基準に順位を決めるか」でも、順位が変わってくるので、難しい。

この作品が落札された2008年当時の為替レートで計算すると、落札額は63万6500ポンド=125万9552ドル=1億3400万7420円。

10:Girl with Balloon – Colour AP (Purple)

  • タイトル: Girl with Balloon AP Purple
  • 制作年: 2004年
  • サイズ: 縦69.4cm x 横49.5cm
  • 技法:シルクスクリーン
  • サイン: あり
  • エディション: Artist Proof
  • Pest ControlのCOA付き

2020年9月にクリスティーズに出品され、オリジナル作品ではなく、シルクスクリーン印刷の作品にも関わらず、今回10位にランクインしたのは「Girl with Balloon – Colour AP (Purple)」だ。

落札価格は791,250ポンド、日本円にして約1億1000万円。2018年にオークション落札直後にズタズタに切り裂かれたGirl with Balloon(風船と少女)以降、Girl with Balloonと同じデザインの作品の人気はうなぎ上りだ。

シルクスクリーン印刷でサインとナンバーが入っているとはいえ、オリジナルが印刷された作品が、1億円を越えるのは少し異常かも知れない。

シルクスクリーンの作品が1億円を越えたことで、他のシルクスクリーン作品の価格も、これから上がっていくだろう。

ちなみに11位は?

サイズ : 縦 122cm x 横 122cm
制作年:2000年
技法:ステンシルスプレーペイント
サイン : あり
エディション: 1/1 Original on board

カーサ ブルータスの特集で5位になっていた2020年10月時点でベスト11の作品は、2019年6月に英クリスティーズで落札された「Mona Lisa」。落札価格は73万1250ポンドで、日本円にして約1億円になる。

カーサ ブルータスを既に購読した方なら、あれ4位だった「Submerged Phone Booth」について書かないの?と思う方もいるかも知れない。

しかし、ポンドの価格だけで見ると「Mona Lisa」は73万1250ポンド、2014年10月に落札された「Submerged Phone Booth」の落札額が72万2500ポンドで、「Mona Lisa」の方がポンドでの価格が高かったので、今回の記事では「Mona Lisa」を紹介した。

日本での、バンクシー人気爆発の始まり?

こちらが直近3年間のバンクシーに関する主な事件やニュース….

・2018年10月、英サザビーズで約1.5億円の作品が落札直後にビリビリに裁断…

・2019年小池都知事のツイートで「バンクシー東京のネズミ」が日本中で話題に…

・2019年10月過去最大サイズの作品「Devolved Parliament」が過去最高額、約13億円で落札。

・2020年3月号のカーサ ブルータスでバンクシー の特集記事が大々的に組まれる。

・2020年3月15日から横浜アソビルで日本初大型バンクシー展「Genius or Vandal」が開催。

直近3年間の主な出来事だけを見ても、色んなニュースや事件、イベントが目白押しだ。

バンクシー作品コレクターの移ろい…

これまで「バンクシー作品を購入したい」という問い合わせは長年のアートコレクターが中心だった。

しかし、ここ1〜2年は色んな業種の方や、今まであまりアートに興味が無く最近アートを収集し始めた人まで、問い合わせをする人のバリエーションが一気に増えた、

2020年以降、やっと日本にも本格的にバンクシー人気が到来しそうなので、欲しいバンクシーの作品があれば、早めの購入がオススメだ。

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