2019年10月1日、ロンドン郊外のクロイドンにオープンしたバンクシーの公式ショップ「Gross Domestic Product」は先週末(10月13日)、1度もオープンすることなく閉店した。
バンクシーの公式ショップって何?と思った方はこちらの記事でご確認を↓
バンクシーがロンドンに公式ショップをオープン。その名もGROSS DOMESTIC PRODUCT.
それから4日後の10月17日。
兼ねてからこのブログでもお伝えしていた公式オンラインショップ「Gross Domestic Product」の開設をバンクシーが公式インスグラムで発表。
実際の投稿がこちら↓
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コメント蘭には、
I'm opening a shop.
It's called Gross Domestic Product™.
It sells art, homewares and disappointment.Banksy公式インスタグラムより
オンラインショップをオープンする。
ショップの名前は「Gross Domestic Product™」
ここで販売するのはアートとホーム雑貨と期待外れのものだ。
オンラインショップで販売された商品
バンクシー(期間限定)公式オンラインショップ「Gross Domestic Product™」では 10月13日に閉店したクロイドンのポップアップショップで展示された商品を中心に作品とホームグッズが販売されていた。
例えば、
Banksy™ Thrower
現在の市場価格にして1000万円近くで販売されてもおかしくない威風堂々とした作品がわずか 11万円程度だ。(750ポンド)
Banksy™ Mug
子供が絵付けをした手作りのマグカップが10ポンド(約1400円)。サイトにはサイン入りと表示されていた。
Banksy™ Vest
2019年、グラストンベリー・フェスでヘッドライナーを務めた英ラッパーのストームジーが着用してステージへあがったことでも話題になった防刀ベスト約12万円(850ポンド)。
Banksy™ Shredded Tee
2018年10月、サザビーズ、オークション落札直後に額縁に内蔵されていたシュレッダーが突如作動し、途中までシュレッダーにかかってしまった作品を「Girl with Balloon」再現したTシャツ「Banksy™ Shredded Tee」は約4200円(30ポンド)。
バスキアの作品をオマージュしたこちらの直筆サイン入りエディション作品「Banksquiat」。現在の市場価格を考えるとゆうに数百万円の値が付く作品だがバンクシー公式のオンラインショップなら、わずか約7万円(500ポンド)で購入できる。ただし、期間限定だ。
などなど、バンクシーの作品が普通ならありえない出血大サービス価格で販売されていた。
バンクシーからメッセージ
オンラインショップに入る前のページでは、今回の販売に関する説明や意図が詳しく書かれている。
その中の一部に、
「ショップに並ぶグッズや作品はすべて、工場で大量に生産されたものではなく、バンクシーのアートスタジオで手作業で作られたものである。材料には出来る限りリサイクル品を使用し、限られた人数で、日中からお酒を飲む職場環境で製作しているので数には限りがあり、発送にも時間がかかる」ことや、
「今回販売する作品やグッズは低所得者の顧客のために付けた価格で、市場価格と比較するとはるかに安くなっている。なので、富裕層のコレクターの方は今回の抽選販売への参加はお控え頂きたい」と詳しく書いている。
Banksy作品 - 抽選販売への応募方法
今回オンラインショップでの販売は10月28日までの期間限定。上の説明でもあるように、所得が高くないコレクターにも公平にチャンスが回ってくるよう、抽選による販売になっている。
・購入できるのは18歳以上の男女で、1人に付き1作品までが応募条件。
1.まず、購入したい商品を1つ選び、ADD TO CART → PROCEED TO CHECKOUTをクリック。
バンクシーのオンラインショップのページはこちらをクリック。
2. 次に、上のページにとぶと、Why Does Art Matter?(なぜアートは重要なのか?)という質問がある。その質問に50文字以内で答えて、NEXTをクリック。イギリス人のスタンドアップ・コメディアン「Adam Bloom」が審査するので英語で書く必要がある。
3. 最後のページで住所など必要事項を記入して終わり。当選者には、応募から2週間以内に当選メールが届く。
応募期限は10月28日(英国時間の23時59分)まで。応募自体は極めて単純だ。
しかし、世界中のバンクシーファンが参加するのと、質問の答えに最もふさわしく、最もオリジナリティーに富んだ解答が選ばれるそうなので、欲しいグッズや作品を買える確率はかなり低そうだ。
ちなみに、このショップから生まれる収益の大部分は、難民支援団体に寄付される予定だ。
法的訴訟=逆境を一大イベントに変えるバンクシーの発想力
バンクシーが公式ショップ「Gross Domestic Product (GDP)」をオープンしたのは元々、あるグリーティングカード会社が「BANKSY」の商標権を争う法的訴訟を起こしたのがキッカケだった。
バンクシーは法的訴訟という逆境を逆手に、オンラインショップを開設。そして、驚きの低価格で、自身のオリジナルグッズ・作品を抽選販売している。
売り上げの多くを難民支援団体に寄付する自らの活動スタイルを貫き、自分が伝えたいメッセージを世界中に伝えながら、これまで作品には手が届かなかった多くのファンを喜ばす一大イベントに変えてしまうバンクシーの発想力と実行力はどう考えても素晴らしい。
アーティストとして次のチャプターに進もうとするバンクシー。その歴史的瞬間、瞬間をこれからもこのサイトで追って行きたい。
P.S.バンクシー唯一の公式オンラインショップ「GDP」は不定期でしかオープンしないので、通常は作品を購入できない。いつでも買える公式のバンクシーの商品といえば、作品集だとだと思うが、バンクシーの作品集 実はこれだけが本物って知ってた?