2018年10月、Banksy(バンクシー)はサザビーズ・ロンドンのオークションで、自身のオリジナルキャンバス作品「Girl with Balloon」が約1億5千万円で落札直後、額縁に内蔵したシュレッダーでその作品を切り刻ざんだ。
その事件の真相を公式インスタグラムで公開。その後、事件の様子がSNSやメディアを通じて世界中に爆発的にシェアされた。
この2018年の作品破壊事件を通じて、初めてバンクシーのことを知った人は多いだろう。
しかし、、、
20年前のバンクシーはもっと凄かった???
実はバンクシー は2000年代初頭の頃から、この作品破壊事件に負けず劣らずのパフォーマンスを行っていた。
世界の超有名美術館に無断で作品を展示。そして、SNSやメディアを通じて世界中に公開するという奇想天外なパフォーマンスだ。
この記事ではバンクシーが2003年から2005年の間に行ったその奇想天外なパフォーマンスを紹介しよう。
*2003年−2005年当時の画像がほとんど無かったので、画像のクオリティの低さを先にお詫びしたい。
2003年10月 テート・ブリテンで無断展示
まずは、2003年10月17日、バンクシー はロンドン・テムズ川のほとりにある美術館「テイト・ブリテン(Tate Britain)」の開館時間中に侵入し、許可なくポートレート作品を展示。
作品のタイトルは「Crimewatch UK Has Ruined the Countryside For All of Us」。
作品には静かで牧歌的な風景、青と白の警察の立ち入り禁止用テープが描かれている。
次に、上の2つ目の画像では年金生活者の変装をしたバンクシー?が大きな紙袋から作品を取り出し、壁に掛けている姿が映っている。
2004年 ルーブル美術館...
2004年、テート・ブリテンの次にバンクシーが狙いを定めたのは、パリにある世界一有名な美術館「ルーブル美術館」だ。
この時、バンクシーが無断で展示した作品はレオナルド・ダヴィンチの名作「モナ・リザ」へのオマージュ。アートに興味がなくても誰でも知っている作品だ。モナ・リザの顔をスマイリーフェイスに変えた「Mona Lisa Smile」というタイトルの作品だ。
2004年 自然史博物館
こんどは、ルーブル美術館と同じ2004年。バンクシーは美術館員に変装し、ロンドンの美術史博物館に作品を無断で展示。
この時、無断展示したのは「Banksus Militus Ratus」という作品。頭にサングラスを掛け、マイクを手に持ったネズミの剥製だ。
ネズミの後ろにスプレーペイントで描かれた「Our Time will come=俺たちの時代はいつか来るはずだ」と描かれたグラフィティペイントが興味深く、ネズミやおサルに予言めいたメッセージを伝えさせる手法は、この頃から一貫している。
美術館などでよく見る作品の説明欄(2枚目の画像)には、「Pest Control(害虫駆除の意味)」というタイトルで作品の説明がある。
ちなみに、2008年「偽物を高額で摑まされて、涙を流す被害者をこれ以上、増やさないように」と、バンクシー本人が設立したバンクシー作品・唯一の認証機関の名前も同じくPest Control(ペストコントロール)だ。
2005年 MOMAなどニューヨークの4美術館
2005年3月、バンクシーはニューヨークにある
- ニューヨーク近代美術館(MOMA)
- メトロポリタン美術館(the Metropolitan Museum of Art)
- ブルックリン美術館(Brooklyn Museum)
- アメリカ自然史博物館(the American Museum of Natural History)
の4大美術館に侵入し、無断で作品を展示した。
まずは、
MOMA(ニューヨーク近代美術館)
バンクシーがMOMAに(ニューヨーク近代美術館)無断展示した作品は、アンディ・ウォーホルの代表作「キャンベル・スープ缶」へのオマージュ「Soup Can」だ。
この作品は同月の2005年3月にエディション作品化され、今ではストリートアートを象徴する作品の1つになっている。
ブルックリン美術館
2005年3月16日、英国の植民地時代の赤いコートを着た将校が、スプレー缶で反戦のメッセージを描いたこの作品がブルックリン美術館で発見された。ちなみに、この作品は発見されたその日に撤去された。
アメリカ自然史博物館
バンクシーがアメリカ自然史博物館に無断展示した作品は、上の画像では分からないが、ガラスケースに入ったカブトムシの標本。
このカブトムシの作品には戦闘機の尾翼とミサイルのようなもの、そして、衛星アンテナが装着されている。アメリカの自然史博物館にぴったりの作品だ。
メトロポリタン美術館
3月13日、バンクシーがメトロポリタン美術館に無断展示した作品は、ガスマスクを装着した女性のポートレートで、上に載せたYouTube画像を見て頂けるとわかると思うが、実際に無断展示された時は、ゴールドのフレームで額装されていた。
メトロポリタン美術館の職員によると、作品が展示された壁や他の作品には一切のダメージは無かったそうだ。
2005年 大英博物館
2005年5月、ニューヨーク4美術館の後、最後にバンクシーが狙いを定めたのが、幅広い年代とジャンルの作品を展示するイギリスを代表する美術館「大英博物館」。
バンクシーが大英博物館で作品を無断展示するのに選んだ場所は古代芸術のセクションで、
棒人間がショッピングカートを押す様子が描かれた洞窟壁画を模したコンクリート作品「Peckham Rock」が大英博物館の壁に無断展示された。
作品はその後3日間、誰にも気付かれず、同じ場所にそのままあったそうだ。
この「Peckham Rock」は13年後の2018年、大英博物館のエキシビションで正式に展示されることになる。
次はどんなパフォーマンスを見せてくれるのか?
世界の超有名美術館へ侵入し作品を無断展示するパフォーマンスといい、英サザビーズで作品落札直後、額縁に内蔵したシュレッダーで作品を破壊した事件といい、常人では考え付かない奇想天外なパフォーマンスを起こすごとに驚きとともに、世界中にファンを増やしていくバンクシー。
もう、これ以上大胆なパフォーマンスは思い付かないと思っても、いつも想像を遥かに越えて来てくれるパフォーマンスを見せるバンクシーの活動をこれからも追って行きたい。