Banksy サザビーズで生まれた「Love is in the Bin」実は失敗作だった…

バンクシーが自分の作品が落札された直後に、自分で作品をシュレッダーにかけた。ロンドンのサザビーズで行われたオークションでのことだ。落札価格は1億5000万円。作品のタイトルは「Girl with Balloon」。

「Girl with Balloon」は、2017年 イギリス人が今、一番好きなアート作品」という人気投票でも1位に選ばれた作品です。

後日、その作品には「Love is in the Bin」という新しいタイトルが与えられた。もちろん、作者であるバンクシーによって。

2週間前には、前代未聞のパフォーマンスで世界中をグラフィティアートの力で震撼させ、ニュースキャスターや各メディアの人間を右往左往させた。この点についてはひとまず、バンクシーの読みどうり、成功といったところだろう。

バンクシーは、本当は、何がしたかったのか?

どうなっていたら、バンクシー的には成功だったのか?
一部始終が 10月17日、バンクシーの公式サイトで明らかにされた。

その動画がこちら↓

Banksy Shred the Love  – ディレクターズ・カット版

この動画には、例のごとく、フードを被った男性が、シュレッダー装置を額縁内に仕掛け、額装を完成させる場面から始まります。

次に、10月5日のサザビーズ・ロンドンのオークション会場での様子が映し出され「Girl with Balloon」の落札が決定。

オークショニアがハンマーを叩いたその直後、会場に入り込んでいたバンクシー本人、または、バンクシーの関係者らしき人物がシュレッダーのリモコンのボタンを押した。ジジジジジーっ。

1億5000万円の作品が製麺機から出て来る麺のように、額縁から出て来る。でも、半分くらいのところで止まった。会場が騒然。

予定どうりには進まなかった、、、

BANKSY アート史上初! サザビーズ, オークションで物議をかもした ‘GIRL WITH BALLOON’ のその後と一部始終。でも詳しく書きましたが、

シュレッダーは作品の半分くらいの所で止まり、作品の半分はそのままの状態で、無残に残りました。

動画の最後では、

In rehearsals it worked every time …
リハーサルの時は、毎回成功したんけど…

とテロップが出て、残念そうです。

リハーサルでは、もはや製麺機と化した豪華な額縁が、壁にひっそり佇んでいます。

そして、数人の笑い声。

「Love is in the Bin = 愛はゴミ箱の中へ」という作品のタイトルは、まさに、このような姿形になるはずだったのです。

バンクシーとサザビーズは 裏で組んでいたのか?

10月5日以降、様々なメディアから、

「Girl with Balloon」を落札後にシュレッダーにかけたのはサザビーズとBanksy(バンクシー)が組んでやったことじゃないか?

と憶測されたニュースが流れてきました。

この疑惑に対し、バンクシーは次のように公式SNSで反論しています。

Some people think it didn’t really shred. It did.
Some people think the auction house were in on it, they weren’t.

作品をシュレッダーで細断していないという人がいるが、
実際はしているし、今回の騒動に、サザビーズが関わっていたという人がいるが、実際は関わっていない。

前回の記事「BANKSY アート史上初! サザビーズ, オークションで物議をかもした ‘GIRL WITH BALLOON’ のその後と一部始終。」で紹介したように、

バンクシーの元代理人、スティーブ・ラザリデスはこの動画が公開されるより以前にインタビューで、

「Banksyと一緒に12年仕事をしたけど、バンクシーがオークションハウスのような機関と組んで、あんなパフォーマンスをするなんて考えられない。彼の哲学に反している。」と語っていましたが、スティーブ・ラザリデスの読みは当たっていました。

落札直後のオリバー・バーカーさん(サザビーズのオークショニア)の表情を確認しても「誰が!余計なことしやがって!」と苦々しい表情が、一部で疑われていたサザビーズ とバンクシーが実は裏で手を結んでいたんじゃないか?っていう共謀説を一気に吹き飛ばしています。

Banksyはこの動画を通じて、「サザビーズと組んでこの騒動を巻き起こしたのではない」ということと、「本当は『Girl with Balloon』を半分じゃなくて、全部細断するつもりだった」ことを伝えています。

名作は思いがけず誕生する

アンディ・ウォーホルの「32個のキャンベルのスープ缶」は元々、1枚1枚、個別の作品として売り出していましたが、初めは、あまり人気が出なかったので、32枚をひとまとめにして販売してみたところ、注目を集め始め、人気が出たことはよく知られている話で、現在のセールスでもこの手法は活きています。

今回のBanksyの「Love is in the Bin」も作品をすべて、細断するはずのつもりが、シュレッダーが半分で止まった事で、作品としての形を残しました。

バンクシーに「アートの神が降りてきた…」

2000年初期からバンクシーを追いかけてきた自分の見解を言わせてもらうと、常々、現代アートのように価値を上げることが目的でない、ただ、地球の平和や、争いをなくし、動物を愛護する責任が人間にあることを思い起こさせるような(現にディズマランドで販売されていた軽食はすべて、ベジタリアン向けの食事ばかりでしたし)グラフィティアートをメッセージを発信するための道具として活用してきたバンクシーです。

誰かが「自分の作品の価値を上げるためにやってんだろ。」とか、オークションで高額で落札されるのに、アーティスト本人が何ももらえないなんておかしい。」とか、さも、バンクシーが自分の作品の価値を意図的に上げて儲けたいんだ、みたいな見解を話していましたが、そうではなくて、

実は、バンクシーは、グラフィティアートを用いてメッセージを発信することで、地球が抱える問題の本質を注意喚起し、各人に考えてもらいたい。

そう思って描いてきたグラフィティアートに高値をつけるなんて商業主義の権化みたいなやつには、目の前で1億5000万円を粉々にして見せるさ!っていう気持ちがあったのではないかと。

今回のオークションで高値で落札されることはわかっているはずですから、ここでバンクシーが望んでいたことは、作品をゴミ箱行きにし、落札者が飾れないようにし、高額で競り落とした作品が泡と藻屑となり、、、

そこでまた、人間の心の奥をえぐってくるような過激なメッセージを投げかけてくるつもりだったのではないかな?と勝手にそうバンクシーの動機を推し量っています。

もう一つ。

本当はズタズタにしたくて、万全を期して何度もリハーサルしたようですが、本番ではなぜかうまく行かず…。

でも、バンクシーの想定外のところで歴史上、類を見ない「オークション会場で新作を創るはめになった」というのは、これはもう、バンクシーにアートの神が降臨してきた、というほかありません。

 

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